家の中に入り込んで様々な害をもたらすアリといって、皆さんがすぐ思い浮かぶのはシロアリでしょう。 しかし、今回とり上げた「イエヒメアリ」もいつのまにか屋内に侵入して被害を発生させるアリとして知られています。
イエヒメアリの被害に遭わないためには、家の中に侵入させないようにしなければなりません。 今回はイエヒメアリの実態と駆除の方法について紹介します。
目次
駆除の前にイエヒメアリを知っておこう
暖かいところを好むイエヒメアリは、もともとはアフリカ原産のアリで、現在では世界各地に分布しています。 雑食で家の中のものを何でも食べてしまいます。
肉・魚・パン・バター・砂糖など、片っ端から食べつくし大事な衣類などにも穴を開けてしまう小さくて厄介なアリです。
イエヒメアリの特徴
イエヒメアリの体長は1.5 mm ~2.0 mm程の小さなアリです。体の表面は黄色でお腹だけ薄黒い色をしています。 「ヒメアリ」によく似ていますが、イエヒメアリにはヒメアリの特徴である表面の光沢はありません。
雑食性で屋内のあらゆる食品を餌にして、繁殖力も強いアリです。 壁にある亀裂や壁と柱との小さな隙間など、 人目の届かない空所の奥に巣を作るので駆除することが困難です。
イエヒメアリが家の中で大量発生するのは何故?
イエヒメアリは暖かいところを好んで棲みつくので、日本の気候では屋外に生息することは難しいです。 寒い北海道でも暖房のよく効いたビルの中で生息が確認されています。
イエヒメアリが日本の家屋の中で大量発生するのは、 家の中が暖かく一定の温度を保ちやすい環境であることと、雑食であるイエヒメアリの餌となる人間の食べ残しが豊富にあることが原因となっています。
クロアリやシロアリとの違いについて
シロアリは蟻ではなく、ゴキブリの仲間です。およそ3億年くらい前に「ゴキブリ」から分化して、独自の進化を遂げたのが現在の「シロアリ」です。 シロアリは家の中の木材を食べてしまう害虫として知られています。
クロアリは普段よく外で見かける蟻で、家屋に被害を及ぼすことはありません。ただし、クロアリは餌としてシロアリを食べるので、 クロアリを見つけたらその近くにシロアリがいる可能性があります。
イエヒメアリはクロアリの仲間で、家害虫として有名です。 一度室内に侵入されてしまうと様々な被害をもたらします。
イエヒメアリの巣には複数の女王アリが共存
イエヒメアリは他のアリと違って、1つのコロニー(巣)の中に複数の女王アリが共存しています。そのため繁殖力が強く家の中に侵入されたら、瞬く間に大量発生する危険性があります。
イエヒメアリによる具体的な被害とは?
ここではイエヒメアリが屋内に侵入することで、どんな被害あうのかを具体的に説明していきましょう。
まずは冒頭でも説明したように、 雑食性で大食いのイエヒメアリは家中のありとあらゆる食べ物を食べてしまいます。 特にお子さんをお持ちの家庭では、お菓子の食べ残しなどが床に落ちやすいのでイエヒメアリの格好の餌になります。
また刺されると腫れることもあり、 皮膚の弱い人は注意が必要です。イエヒメアリの被害例では、あまりの酷さに引っ越しをしたり、家主さんと訴訟になるケースもあります。
イエヒメアリの駆除が難しい理由
イエヒメアリの駆除は一般的に難しいとされています。ではなぜそんなに難しいと思われているのでしょうか?ここではその理由について説明して行きましょう。
毒餌剤が大きすぎてイエヒメアリが運べない!
アリの駆除方法として毒餌剤を使用いる方法があります。 駆除用の餌をアリの通りそうな場所に設置します。そしてアリが餌と間違えて巣に持ち帰ることで 巣ごと退治できます。
しかし、市販されている毒餌剤(アリ用)がイエヒメアリには大きすぎて、巣に持ち運ぶことがでず駆除が難しいのです。
市販の駆除剤に対して耐性がある!
一般的なアリの駆除のやり方として設置タイプの駆除剤を使用する方法があります。 しかし、何度も使用することでイエヒメアリに耐性がついてしまいます。そうなるとイエヒメアリは駆除剤を警戒して近づかなくなるので駆除が難しくなります。
イエヒメアリを家の中に侵入させない!自分でできる予防法
イエヒメアリは繁殖力がとても強いため、一度侵入を許してしまうと爆発的に大量発生する危険性があります。家の中はイエヒメアリの餌となる食品の宝庫となっているので、侵入させないことが重要です。
食べ物を遺さない、床に落とさない、マメに掃除をする !
イエヒメアリが家の中に侵入するのは、「食料品の倉庫と化している屋内」がヒメアリにとっては楽園だからです。
イエヒメアリに餌を与えないように「食べの残しを放置しない」、「食べかすを床に落とさない」、「まめに掃除をする」の3つを徹底しましょう。
特にイエヒメアリはお菓子や乾き物を好みますので、お子さんのおやつの食べ残しや食べかすなどには十分注意が必要です。 食べかけの食品はしっかりと口を閉じておきましょう。
そして、まめに家の中を掃除して食べかすが常にない状態を保ちましょう。
〇自分でできる予防法1
・食べの残しを放置しないできちんと片付ける
・お菓子などの食べかすを床に落とさない
・まめに掃除をする
イエヒメアリの侵入口をふさぐ
イエヒメアリは、体が小さいので小さな隙間さえあれば家の中に入ってきます。 家の中で侵入口になりそうな雨戸や壁など、隅々までチェックして侵入口を塞いでおくようにしましょう。
侵入口を塞ぐ方法は、パテで通り抜けられないように塞いだり、 侵入口の所にアリ用の毒餌剤や駆除剤を置いておきます。 また、侵入口にイエヒメアリの嫌いな忌避剤をまくのも効果的です。
〇自分でできる予防法2
・侵入口になりそうなところをパテで塞ぐ
・侵入口になりそうなところに駆除剤や毒餌剤をセットする
・侵入口になりそうなところに忌避剤を使う
自分で試してみるオリジナルの駆除方法
一旦家に入り込まれてしまうと駆除が難しくなるイエヒメアリですが、だからといって諦める必要はありません。
市販で様々な駆除剤が購入できますし、 様々な対策もあります。まずは慌てることなく自分のできることから試してみましょう。
(1)砂糖水と駆除剤を混ぜて設置
自作で砂糖水を作り、その甘い匂いで引き寄せて一気に駆除する方法です。小さくて平たい容器や皿を用意してその中に砂糖水を入れます。さらに液体用の駆除剤をよく混ぜて設置しておきます。
上手くいけば甘い砂糖水に寄せ集められたイエヒメアリを、 一網打尽にすることが可能です。
(2)駆除剤にイエヒメアリの好物を混ぜて設置
イエヒメアリは駆除剤を警戒して近づかないことがあるので、駆除剤の中にイエヒメアリの好物を混入することで 警戒心をといて、効果的に駆除できるようになります。
イエヒメアリの好物は「ツナ」と「シーチキン」です。 これらを市販されている顆粒状の駆除剤にすりつぶすように混入します。このオリジナルの駆除剤をイエヒメアリの侵入口や通路に設置して起きましょう。
自分ではもう駆除できない!と困ったときは?
イエヒメアリは駆除が難しい害虫です。気が付いた時にはもう手遅れな状態になるほど大量発生してしまうこともあるでしょう。
自分では駆除できないと感じたら、 無理をしないで専門業者に依頼しましょう。 イエヒメアリの駆除は「早期発見!早期対応」が重要です。自分で対応しようとしてズルズルと時間だけが経過してしまうと、取り返しのつかない事態にもなりかねません。
「かかる費用はどのくらいなの?」と不安になると思いますので、まずは早めに駆除の専門業者に相談してみましょう。ただし、アパートやマンションなどの集合住宅にお住みの場合は、まずは管理人や管理会社に相談して対応について検討してもらいましょう。
イエヒメアリの対策・まずは予防!次に効果的な方法で駆除しよう
皆さんここまで記事を読んでいかがだったでしょうか?
イエヒメアリの予防や駆除方法について、今回の記事が参考になれば嬉しいです。イエヒメアリは一度屋内に侵入したらなかなか駆除が難しい害虫です。
まず最初は家に侵入されないように、予防策をはかることが重要です。 そして万が一屋内に侵入された場合でも、焦らず落ち着いて効果的な対応をとるようにしましょう。