花粉症といえば春先に目の周りが痒くなったり、鼻水やくしゃみが止まらなかったりなどの症状が典型的ですが、なかには肌に湿疹やかゆみが出たり頬にぶつぶつが出きたりと、肌のトラブルに悩まされる人がいるのではないでしょうか?
このような花粉症アレルギーによる肌の疾患の総称を「花粉皮膚炎」といいます。 今回はこの花粉皮膚炎による肌荒れ対策と適切な治療法について紹介していきましょう。
目次
春の肌荒れは「花粉皮膚炎」が原因の場合も
一年のうちで特定の時期になると、目の周りのむくみや顔の肌荒れやかゆみに悩まれる方が少なからずいます。特に春先のスギ花粉が飛散する2月頃から症状が現れることが多く、このような場合、スギ花粉が原因になっている肌荒れの症状(花粉皮膚炎)が考えられます。
一般的な花粉症の症状である目のかゆみやくしゃみ鼻水などは、体内に入ろうとする花粉を異物と捉えて、アレルギー反応でおきる症状です。 花粉皮膚炎も全く同じで皮膚から侵入しようとする花粉に対してのアレルギー反応で症状が出ます。
花粉皮膚炎はスギ花粉の時期によく見られますが、その他にもブタクサやヒノキなどの花粉でも肌荒れ症状を起こすことがあります。
例年、同じ時期に肌荒れ症状が出たり、花粉の飛散量が多い時に症状が重くなったりするような場合は花粉皮膚炎を疑いましょう。
花粉皮膚炎による肌荒れの症状について
花粉皮膚炎は瞼や頬、首などに症状が出やすいです。 症状としては患部が痒くなり赤く腫れ乾燥して、ヒリヒリと感じることもあります。 人によってはかゆみが強く、赤く盛り上がり発疹のようになる人もいます。
しかし、湿疹のようにジュクジュクするような症状はなく、 むしろ乾燥気味になるのが特徴です。 普段よりもお化粧のノリが悪くなり、いつも使用している基礎化粧品が肌にしみることもあります。
持病としてアトピー性皮膚炎がある人は、花粉皮膚炎が重症化しやすいので肌の乾燥には注意が必要です。その場合は保湿などの肌ケアをきちんと行うようにしましょう。
なぜ花粉で肌トラブルが起きるのか?
ここではなぜ花粉症で肌トラブルが起きるのか?そのメカニズムを詳しく解説していきます。
肌にはバリア機能が備わっています。皮膚の外から侵入しようとする花粉などの異物をこのバリア機能で排除しているのです。バリア機能の中で最も重要な働きをするのが、 表皮の体表面にある角層(角質層)にあたります。
角層はバリア機能と保湿機能という2つの重要な役目を果たしているのですが、その厚さはわずか0.02 mm で食品用ラップと同じ程度の非常に薄い膜です。
角層の構造はたっぷりと潤いを含んだ角層細胞と、角層細胞同士を連結している細胞間脂質とで隙間のない構造を形成しています。 その角層の表面を皮脂の膜が覆うことによって、肌の内側から水分が蒸散されるのをブロックしているのです。
この角層構造が保たれている肌は、 花粉やチリ、細菌、ウイルスの侵入をガッチリとガードしてくれます。
角層の重要な働き
1. 皮膚の表面から 埃や菌などが侵入するのを防ぐ働き |
2.体を乾燥させないように体外に身体の水分が蒸散するのを防ぐ働き |
しかし、春先の花粉症の時期になると空気が乾燥し、角層から潤いが失われてしまいます。そうなると細胞と細胞のあいだに隙間が生じて、バリア機能が低下することで花粉が侵入しやすくなってしまいます。
そこに免疫システムが反応して肌荒れなどの花粉アレルギー症状を起こしてしまうのです。
花粉皮膚炎。なりやすい人は?なったらどうする?
花粉皮膚炎になる人は、元々湿疹ができやすかったり子供の頃にアトピー性皮膚炎だったりと皮膚に炎症が起きやすい体質の人がなりやすいと言われています。
花粉皮膚炎になったら、できるだけ肌に触れないようにしましょう。間違っても痒いからといって力任せに掻いたりしないでください。無理に掻いてしまうと皮膚の大切なバリア機能が壊れて皮膚に炎症がおきます。
ひどい場合は悪化することもあります。とくに目の周りはとても皮膚が薄く敏感なのですぐに赤く荒れてしまいます。特に触れないように注意することが大切です。
花粉皮膚炎は速やかな治療を心がける必要があります。放置すれば湿疹の範囲がどんどん広がって綺麗に治りにくくなる可能性もあります。
もし花粉皮膚炎だと思ったらできるだけ肌に触れないようにして、かかりつけの皮膚科を受診しましょう。
花粉皮膚炎を抑える市販薬は?
花粉皮膚炎の症状は、初期は頬や目の周りを中心とした軽い赤みとかゆみ、ヒリヒリとした感覚が主な症状です。しかし痒さを我慢できずに肌を掻いたりこすったりすると症状が悪化して慢性化します。
花粉皮膚炎は早期のうちに治療することで、薬の副作用がほぼない状態で改善することができます。 治療に使う薬は一般的な顔の湿疹の時にも使われるステロイド外用薬が有効です。
ステロイドと言うと少し怖い感じもしますが、 初期の花粉皮膚炎なら弱めのステロイドで一週間ほど塗れば症状が改善します。
ただし放置してしまうと症状が悪化するだけでなく、強めのステロイドで長期間の治療が必要になってしまいます。
ただし、1週間以上薬を塗っても症状が改善されない場合は「酒さ(しゅさ)」などの別の疾患も考えられますので、早急に皮膚科受診するようにしてください。
花粉皮膚炎の予防対策について
花粉皮膚炎は個人差はあっても、毎年花粉飛散の時期に合わせて症状が出るわけですから、前もってしっかりと予防対策をすることで、症状を抑えることが期待できます。
肌の保湿をする
花粉症皮膚炎の大敵となるのは肌の乾燥です。 肌を乾燥から守るためには 日頃から保湿剤を使用するなどスキンケアが重要になります。 また、加湿器などを利用して室内を一定の湿度に保つようにしましょう。
お肌のスキンケアは、たっぷりと化粧水で水分補給をしてからクリームなので保湿すると良いでしょう。また、顔だけでなく普段見落としがちな首や耳などにもしっかりと塗ることも大切です。
腸内環境を整える
免疫機能を整えて肌のバリア機能を回復しやすくするためには、腸内環境を整えることが重要です。免疫機能を上げ腸内環境を整えるために、食生活の中で特に乳酸菌や食物繊維を積極的に身体に取り込むようにしましょう。
睡眠とストレスの解消
免疫機能を高めていくためには、腸内環境を整えるとともに良質な睡眠をとること、ストレスを蓄積しないことが大切です。 お勧めするのは38~40度cくらいの温度の入浴です。
ぬるめな温度の入浴は、体に付着した花粉を落とすだけでなく、良質な睡眠やリラックス効果を実現します。
花粉の飛散時期は ・・・
花粉の飛散時期には、外出時に必ずマスクや帽子、メガネなどの着用するようにしましょう。帰宅したらすぐに洗顔やシャワーを浴びて花粉を落としてください。室内では空気清浄機を使用するなど 、花粉とできるだけ接触しないようにすることが重要です。洗顔や化粧のクレンジングは肌の角質を痛めるので十分に注意しましょう。
花粉皮膚炎は日頃の対策と早めの治療を心がけよう!
花粉皮膚炎は毎年必ず同じ時期にやってくる厄介な病気です。 しかし 、逆に考えれば症状が出るタイミングを予測できるので前もって対策ができるということです。
花粉症の時期の少し前からマスクを着用したり、抗ヒスタミン薬を服用することで症状をかなり抑えることができます。本記事に書かれた予防対策をしっかりと実施して、備えておきましょう。
また、花粉の時期は外出から戻ったら手洗いや顔を洗い、付着している花粉を落とすなど日頃の対策も怠らないようにします。 ただし、顔を洗う場合は刺激を強く与えないように優しく洗うように心がけましょう。