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チャタテムシとは?
家の中を見えるかどうかの小さな虫がうごめいていたら、すぐにダニが出たと思うでしょう。このような虫の大半は、ダニではありません。知名度は高くありませんが、チャタテムシと呼ばれる虫がほとんどです。
畳の上や古い本の上を動き回ることが多いチャタテムシは、大きさ1mm~2mm程度の大きさの虫で、梅雨時期などに繁殖しやすく、新築の物件でも発生します。
チャタテムシの特徴
チャタテムシという名前は、お茶を点てるときの茶せんのような音がかすかに聞こえるところからきています。1匹ではほとんど音が聞こえませんが、チャタテムシが大量に発生すると、耳に聞こえる大きさにもなるのです。湿度を好む虫で湿気虫とも呼ばれています。
ダニとの大きな違いは、体長の大きさにあります。ダニの大きさは、基本的に目で見てわかるほどではありません。中には大きな種類がいますが、ほとんどはチャタテムシと混同しています。
チャタテムシはダニとは全く違いますが、ダニのエサになるのです。つまり、ダニとチャタテムシは同じような環境下で生息しています。そのためチャタテムシが増加すると、必然的にダニが増える可能性が高まるでしょう。
チャタテムシは本シラミとも呼ばれますが、カビやほこりを好み古本などにもつくからです。雑食性の性質を持っており、特にカビを好んで食べます。
紙や乾麺もエサにして繁殖するのが問題です。シラミと名前がついていますが、祖先という意味で仲間ではあるものの生態は全く別の種類といえます。シラミは人間に寄生し血を吸いますが、チャタテムシは血を吸ったりはできないからです。
血はすいませんが、カビや乾麺をエサとすることから、間違って口に入るとアレルギーを引き起こすもとになります。ふんによる影響もあり、二次災害の対策も考えなければいけません。
チャタテムシが発生する原因・理由
チャタテムシは、家中に生息しています。特定の場所というより、あらゆる場所に生息していると考えていいでしょう。エサとなるカビやほこりがたまりやすい、湿度が高い場所に多く生息します。
人間の垢などの有機類もエサにして繁殖する虫なのです。特にカビが発生する場所に多く、押し入れなどだけではありません。
発生するポイントで重要なのが、その環境の湿度です。湿度75~90%を好む虫であり、人間が好む40~50%と比較してもかなりじめじめした環境に大量発生します。この湿度を見るとキッチンなどを想像しますが、実際にはいろいろな場所がこの状態になる可能性があります。
その代表例が和室です。和室の畳の上にカーペットを敷くと、じめっとした状態になるのがわかるでしょう。ほこりもたまりやすくなり、空気も循環せずに湿度の高い環境ができあがるのです。カーペットを敷いているだけでも、その下で大量繁殖する可能性が出てきます。ふすまや壁紙も湿度を吸って調節しますが、これがあだになり繁殖場所になることもあるのです。
同じようにリスクが高い場所になるのが、押し入れのような薄暗く風通しの悪いところです。和室の畳でもいえますが、空気の流れが止まりやすくカビが生えやすい環境は注意しなければいけません。
古い段ボールなどが置いてある場所も、チャタテムが好みます。空気の流れが止まれば、確実に湿度が上がるからです。ほこりもたまりやすく、段ボールで温度も高まります。カビも多く生える可能性があり、大量発生する温床になるのです。
もちろん、キッチンなど水回りは湿度が上昇しやすい環境を持ちます。エサになる乾麺などもあるため、しっかりと管理しなければいけません。密閉した状態を作り、必要な時以外は何か入ったりしない状態を作るのが大切です。食べ物の放置も危険な行為になるため、十分に注意が必要でしょう。
チャタテムシが及ぼす被害
チャタテムシは、基本的に害虫とはいえません。行動や存在自体が直接的に被害を出す虫ではないからです。しかし、乾麺などに発生すると、間違って食べてしまう可能性が出てきます。食品の中に混ざりみ、体の中でアレルゲンになるのです。そのため、食材の管理には十分に気を付けなければいけません。
死骸が乾燥して空気中に漂ったときに、吸い込む危険性もあるでしょう。非常に小さな虫であり、分からずに吸い込めば、これだけでアレルゲンに変わります。チャタテムシ自体には毒がなくても、アレルギー反応を引き起こすことは大きな被害です。
チャタテムシ自体には問題がなくても、エサにするツメダニの発生も問題でしょう。ツメダニは吸血しないものの、まれに人を刺し、この部分から体内で反応を起こし腫れ上がって強いかゆみが出て皮膚炎に発展する可能性があります。
この時間も2日ぐらい続くケースがあり、かなり強くつらいかゆみの状態となるのです。間接的な被害ですが、チャタテムシを駆除し大量発生しなければ済むため、対策をしなければいけません。
チャタテムシの駆除方法
チャタテムシを駆除する方法は、カビの駆除と似ています。エサをなくせば自然と発生量が減るのです。健康被害を出す前に対策を理解して、発生前から対処する必要があるでしょう。小さい虫である以上、発見したときにはかなり大量に発生する可能性が出てくるからです。
エタノールや防カビ剤を使う
チャタテムシの駆除のひとつとして、カビを除去するためにアルコールであるエタノールを使う方法があります。カビの存在を減らすことで、発生量を低減できる方法です。直接個体数を減らす方法ではありませんが、繁殖環境を取り除いてしまうところに特徴があります。
畳に対しても使える方法で、まずはカビの胞子などを掃除機で吸い取ります。アルコールでカビを除去しますが、白くなった部分だけではなく、全体に塗布していきましょう。畳にチャタテムシが大量発生すると、白っぽく見えますが、消毒として全体に広げるほうが効果があるからです。ボトルに入れたエタノールを噴霧し、ふき取ると消毒可能です。
防カビ剤を使う方法もあります。カビを発生させなければ、そもそもチャタテムシも繁殖できません。しかし、防カビ剤には繁殖を抑える代わりに、人間にも有害な成分が含まれる可能性があるのです。
どこに使うのかによっても違いますが、リスクも高いため使用方法を守りましょう。
粘着シートで直接除去
チャタテムシが繁殖しているのがわかっているなら、粘着シートを使って直接取り除けます。直接個体を減らせれば、繁殖の予防にもつながることが大事なポイントです。
市販されているローラーに粘着シートをセットして、発生している場所で転がすだけで除去できるのが大きなメリットです。誰でも簡単にできますし、死骸を残さずに済みます。
チャタテムシは本当に小さな虫であり、掃除機だと中にとどまらず排気されることが出てきます。知らず知らずのうちに、死骸を広範囲に広げてしまうかもしれません。
その点で確実に除去できる粘着シートは安全でしょう。細かなフィルターが付いている掃除機であれば、1mmぐらいの大きさになるため、そこまで不安はありません。
燻蒸剤を使って駆除
市販されている燻蒸剤でもチャタテムシを駆除できます。畳の中に潜んでいるような状況では、アルコールを噴霧しても届かないかもしれません。相手は非常に小さな存在で、駆除できたかどうかの確認も難しいからです。
燻蒸剤の場合には、わずかな隙間からも浸透します。隠れて潜んでいたり、見えないような大きさの虫の駆除に効果的です。専用のものでなくても、一般的な燻蒸剤で駆除できます。
1か月ほど効果が持続するものが多くある半面、卵に効果が出ないケースもあるのが注意点です。成虫の数を減らすことが主目的となるため、2週間後にふ化する頃合いを見計らい、もう一度使用するといいでしょう。
燻蒸剤の効果を高めるためには、部屋を密閉して煙が逃れられない状況を作ります。家電などにはカバーをして中に入らない養生も必要です。火災報知器が反応する可能性があるので、対応したものを選ぶかカバーを付けなければいけません。
燻蒸終了後には、十分に換気をして粘着シートや掃除機で除去します。そのままにしてしまうと、吸い込んでしまうリスクが高いからです。そのあとにアルコール消毒すれば、確実性を高められますし、再発防止にも役立ちます。
害虫用スプレーの使用
害虫駆除用のスプレーでも、チャタテムシは駆除できます。専用のものは販売されていませんが、ダニ用などで対応可能です。手の届かない場所に噴霧するだけで効果をあげられますが、小さなチャタテムシは吹き飛ばされて拡散する可能性もあるのです。小さなお子さんがいる場合にも、悪影響を与えかねないため利用環境にも留意しなければいけません。
スプレーの場合には、大量に発生していると対応できません。吹きかける範囲が広くなれば、しっかりと駆除しにくくなります。どちらかといえば、ピンポイントで狙って使う方法です。ほかの方法と組み合わせて、動かせない家具の隙間などに使うのも効果的になります。
黒のビニール袋に入れて天日干し
チャタテムシを駆除する方法はいろいろとありますが、本などに使えない場合もあるはずです。書類などにスプレーやアルコールを使うわけにはいかないときに、すべて黒のビニール袋に入れて、日当たりのいいところに置くだけで駆除できます。
黒のビニール袋は、日航の熱を効率的に蓄えられるため、中で70度以上にできます。チャタテムシもたんぱく質でできている生物ですので、70度にもなると死滅していくのです。本や書類のカビも駆除できるので、この方法は一石二鳥になります。
注意点は、日光の力を利用する以上、曇りの日では効果が上がりません。本や書類によっては、熱によってインクが消えてしまったり、紙が変質したりする可能性があります。捨てるよりリスクが少ない程度で試すことが大切です。
洗濯してしまう
チャタテムシは、部屋の中で繁殖するだけではありません。服の繊維の中でも繁殖するのを忘れてはいけないのです。特にタンスなどに入れっぱなしだった洋服は、そのままではリスクが高まる可能性があります。
洋服についた部分は、洗濯してしまうのが一番です。コインランドリーで乾燥器を使うと効率よく除去できます。30分以上乾燥機にかけると、死滅する温度まで上げられるからです。アレルギーが心配な人は、季節ものの洋服など洗濯してから着ることが大切でしょう。
チャタテムシの駆除するときの注意点
チャタテムシを駆除するときには、見えないほど小さな大きななので、さまざまな点に注意しなければいけません。駆除した後も、意図していないところで繁殖しない環境作りが大切です。
段ボールは放置しない
段ボールは、チャタテムシが好む環境です。段ボールは紙でできているため湿度を吸収しやすく、とても暖かい保温性の高い性質を持ちます。さらに陰になりやすく、風も当たらないと繁殖条件がそろうのです。チャタテムシを駆除する際には、どこかに置いてあるものも放置せず、必ず撤去するのが大切です。
特に危険なのはキッチン周りや和室で、カビも生えやすくなります。玄関など風が入るものの、ほこりがたまりやすい場所に置くのも危険です。ほかの害虫の温床と
食材は密閉管理
乾物や穀類などの中にもチャタテムシは繁殖します。クッキーやビスケットなども大好物のため、密閉容器で管理するのが予防のポイントです。小麦粉などもしっかりと保管していないと危険性が高まります。
湿度を好むだけではなく、温度も重要な要件となるため、粉は密閉袋などに入れて冷蔵庫で管理したほうがいいでしょう。湿度も高まらず、繁殖の温床にならずに済みます。口に入れるものである以上、厳重に管理することが大切です。
除湿を心がける
駆除したとしても、カビが発生すればまたチャタテムシが発生してきます。カビ対策として、除湿することが重要です。除湿のためには、風通しをよくする必要があります。段ボールなどいらないものをかたずけて、風が抜けやすい環境を作るのが大切です。
除湿の面で重要なことに、結露対策もあります。夏場に繁殖しやすいのは、気温と湿度の関係から条件がそろうことで間違いありませんが、冬の部屋の中も条件がそろうのです。
暖房で温められ、温度は思ったほど下がりません。さらに、加湿器などで湿度を高めることも多くなるでしょう。思っているよりも、繁殖条件が悪化しないのです。
結露する場合にも注意が必要です。窓など外気に接する条件があると、一気に冷やされ結露を起こします。湿度が上昇する条件の場所となり、室内の暖かさが加わるため、カビが生えやすい場所となるはずです。つまり、チャタテムシにとっても好条件の場所となるので注意が必要です。
玄関周りはこまめに掃除する
チャタテムシの侵入経路もいろいろとあります。玄関周りに枯草やほこりがたまっていると、室内へ侵入するケースが考えられるのです。どんなに室内で対策をしても、外部からの侵入経路を遮断できなければ、繁殖させてしまうのです。
繁殖させない対策としては部屋だけではなく、玄関周りもしっかりと掃除して乾燥させる必要があります。侵入経路の遮断と清潔な環境は、普段から意識しておいたほうがいいでしょう。
チャタテムシは新築にも発生する
チャタテムシは、高い湿度を好みます。カビやほこり、ひとの垢なども栄養源です。こうした条件を見ると、新築物件では発生しないように見えます。しかし、現実には非常に繁殖しやすい条件がそろっているのです。
人がまだ住んでいない新築は、いつも換気される条件ではありません。誰も人がいない以上、カギが絞められ空気は流れて行かないのです。
水道は閉められているため、湿度が高まりにくい条件でカビが判然に繁殖しなくても、ほこりはどんどんとたまります。閉めきりになっているため室温は上昇しやすく、チャタテムシが繁殖する条件を作るのです。
発生する可能性があるのは、畳を使う和室だけではありません。打ちっぱなしのコンクリートなど躯体がむき出しの条件でも繁殖しやすい条件を持っています。
コンクリートは初期段階で水分を含んでおり、これが湿度を高める原因となるのです。畳をエサにするわけではなく、カビやほこりをエサにする以上、コンクリートであっても関係ありません。
条件さえそろえば、施工中に発生する可能性もあります。気が付かないうちに大量発生しているケースさえあるのです。新築だからといって繁殖しないのではなく、繁殖しやすい条件を持っていると捉えるべきなのです。入居する前には、燻蒸消毒などが必要といえます。
カビなどが発生しない清潔な環境を
チャタテムシの根本的な対策は、カビやほこりをできる限り除去し、湿度を上げないことです。湿度を低い状態で安定させれば、チャタテムシは確実に数を減らします。もともと身近に存在する虫で、すべて駆除はできません。だからこそ、大量発生させない努力が必要です。普段からカビが繁殖したりしないよう、十分に意識して生活することが大切です。