離婚したいと考えても子供がいるからなかなか踏み切れないという人も多いのではないでしょうか?
やはり子供のことを考えると離婚はすべきではないと思われがちですが、状況によっては離婚したほうが子供にとっても良い場合もあります。
今回は、子持ち夫婦が離婚するときに注意しておきたいポイントを紹介します。家族との関係を悪化させない選択をしていきましょう。
なかでも未成年の子供がいる夫婦が離婚するときに確認しておきたいことは主につぎの4つです。
・子供の親権
・養育費
・面会交流
・住居について(離婚前と離婚後)
これらをきちんと考えて、子供に精神的な負担を強いることがないようにスムーズに離婚しましょう。
目次
子供の親権
まずは最も重要な問題となるのが子供の親権です。親権とは未成年の子供の財産を管理したり養育したりする権利です。姻している場合は二人が共同して親権を持つことができますが、離婚した場合はどちらかを親権者に定める必要があります。
親権の決定は次のステップを踏みます。
話し合い→調停→裁判
夫婦間の話し合い
まずは夫婦の間で話し合いを行いましょう。ここできちんと話が進んで問題なく親権者が決定すれば離婚届を提出するだけで終了です。しかし、両者が親権を譲らないというケースも少なくありません。
調停
夫婦間の話し合いでは解決しなかった場合には、家庭裁判所に離婚調停を申し立てして、調停委員を挟んで話し合いを続けます。
裁判
調停でも話がまとまらないと裁判で親権を争います。裁判まで行くとさらに長期化してしまいますが、自分が折れてしまうと子供の親権を譲ることとなってしまいますので最後まで諦めずに取り組みましょう。
ここでよく混同しがちなのが裁判と調停です。
裁判は深刻な争いがある場合に証拠で事実を確定させて裁判所が判断することを目的に行います。調停はあくまでも話し合いで解決することを目的としています。
養育費
養育費は、子供を育てたり学校に通わせたりして自立するまでに必要な費用です。もちろん親権者になった方がひとりで子供を育てることは決して簡単なことではありません。
親権を持ち子供育てる親(監護親)は、親権を持たず子供を育てない親(非看護親)に養育費を請求することができます。
養育費としてもらえる金額
養育費は目安として算定表というものがあり、それをもとに養育費の金額を決定します。(裁判所が定めた養育費算定表はこちらです)
金額を決定するときに関係してくるのが、「年収」と「子供の人数と年齢」です。しかし、年収と子供の人数と年齢をもとにして算定表から算出した金額はあくまで目安です。
最終的には当事者間で金額を決定します。子供のことを最優先に考えて払い続けられる養育費の金額を決定しましょう。
養育費が払われないケースとは?
実は、養育費を子供が成人するまで払い続けてもらうことは難しいです。監護親は非監護親の未払いが続いても「どうせ払ってくれないだろうし、必要以上に関わりたくない」と思い養育費を諦めるケースがあります。
実際に養育費を毎月貰っている母子世帯は2割程度であるとされています。養育費の支払いは、離婚してから月日が経過するとともに徐々に減少していく傾向にあります。
養育費を決める上で大切なことは「子供が成人するまで継続して払えるか」ということです。離婚する前に協議のとき点できちんと金額を決めて約束しておきましょう!
「公正証書」という契約書を作成しておくことで養育費の支払いに法的拘束力が生まれるので、支払いが滞っても請求ができます。
面会交流
離婚後、親権者にならなかった親は定期的に子供に面会することができます。この権利を「面会交流権」といいます。面会交流権についても離婚前に話し合いましょう。
面会交流については面会の回数や日時、場所について話し合います。夫婦間での話し合いで決められない場合は裁判所が関与して決定させます。養育費のケースと同様に面会についても公正証書を作成しましょう。
面会させないことはできるのか?
離婚した後、相手との関係を持ちたくないために子供に面会させたくないと思う人もいるのではないでしょうか?しかし面会交流は権利なのでこれを断り続けるということは難しいです。
ただし、離婚前に相手が暴力を振っていたなどの過去があり子供に悪い影響を与える可能性があれば面会交流を断ることができます。特に相手に問題がない場合は断れないものだと認識しておきましょう。
財産分与
財産分与とは簡単に説明すると、夫婦2人でこれまでに築いてきた財産をどのようにして分割するのかということです。例えば2人で100万円の財産がある場合離婚するときには500万円ずつ分けるということになります。
財産分与には3つの種類があります。
清算的財産分与 | 夫婦が作り上げた財産の清算 |
扶養的財産分与 | 離婚によって生活が苦しくなる相手の扶養 |
慰謝料的財産 | 離婚の原因となった方が相手に払う慰謝料としての意味を含むもの |
清算的財産分与
財産分与の中で核となる部分がこの清算的財産分与です。
離婚生活中に得た二人の財産を公平に分けます。対象となる財産は家や車、家具、貯金などほとんど全ての財産が原則として半分になります。
専業主婦の人も心配ありません。夫の収入は妻の家庭での労働があってこそなので、全財産の半分を請求する権利を持っています。
扶養的財産分与
扶養的財産分与は離婚した後どちらかが生活に困る場合にその生活を補助するという目的の分与です。
例えば、専業主婦だった妻が離婚して子育てと仕事の両立が難しく生計を立てられない場合、夫は生活する上で最低限の補助をしなければなりません。
慰謝料的財産分与
慰謝料的財産分与は離婚の原因となった方が相手に慰謝料としての意味を含んでいるものです。慰謝料とは少し異なり、この慰謝料的財産分与はあくまで財産分与なので現金ではなく現物払いができることが特徴です。
これは相手に不倫や暴力、虐待などの問題がある場合請求することができますが、性格の不一致という理由などでは請求できないことを覚えておきましょう。
住居
離婚を考えるときに住まいは大きな問題になってきます。離婚が成立するまでに別居するための住居も必要です。
離婚前の住居
離婚前の別居は夫婦の関係が本当に破綻しているのかどうか判断することができます。実際離れてみると存在の大きさや大切さを再認識するケースもあります。
別居したいけど生活費がないからできないという方もいるかもしれませんが、問題ありません。夫婦には婚姻費用分担義務というものがあり、別居したとしても生活費を出さなければならない義務があります。
離婚後の住居
実際に離婚すると、今まで家族で暮らしていた住居から夫婦のどちらかは出ていくことが一般的です。そして自分一人なら新しい住居を決めることに問題はあまりありませんが、子供がいるとそうも言ってられません。
近くに学校や幼稚園、保育園などの施設が充実しているか、街の治安は悪くないかなと慎重に判断することが大切です。もちろん養育費については公正証書で契約を結んで、離婚後も責任を持って二人で子供を育てていくことが重要です。
子供の健やかな成長を第一に考えるべき
今回は子供を持つ夫婦が離婚する前に考えるべきことについて紹介しました。やはり最も大切なことは自分たちの子供が安全かつ健康に育つことです。
離婚しないで殺伐とした雰囲気で生活するくらいなら、子供のことを第一に考えた上で離婚という選択肢を取ることは決して悪いことではありません。
そのためにきちんとした手順を踏んで離婚してからも子供が経済的にも精神的にも安心できるような環境を作ることが大切です。