知らない間に家の家具や床材(フローリング)に穴が開いていたり、細かい木くずが落ちていたりしたら「キクイムシ」が発生している恐れがあります。 キクイムシは広葉樹で作られた木材で制作された家具や床材を食べる害虫です。
キクイムシの被害は木材の中で進行しているので、気が付いた時には深刻な被害を受けているかもしれません。手遅れにならないうちに適切な対応が必要です。今回は発見しづらいキクイムシの予防対策や、効果的な駆除の方法を詳しく解説します。
目次
キクイムシとは?
キクイムシはラワン材やケヤキ、ナラなどの広葉樹からできる木材を利用した住宅の家具や床材を食べる害虫です。
木材の中で卵を産み、幼虫から蛹の時代を木材の中で過ごして成虫になると表面に出てきます。 成虫は茶褐色で大きさは3mm~4mm くらいです。 キクイムシの被害は木材の中で進行していくので外観では分かりにくいのが難点です。
「大切な家の家具や床材が知らない間にボロボロになっていた!」 という悲劇が起こらないために、事前の対策をしっかりやることが大切ですね。
キクイムシの7つの特徴
キクイムシのことがよく理解できるように7つの特徴を下記の表にまとめました。
特徴 | |
1 | 表面の色は赤から黒褐色で 全体的に細長く顎が強い |
2 | 体長は3 mm ~4 mm 程度とかなり小さい |
3 | 木の繊維の中に入り込んで繁殖する |
4 | 卵の大きさは米粒くらいで白く透明 |
5 | 大好物は広葉樹( キリ・ケヤキ・カシ・ラワン・ナラなど) |
6 | 木造建築の柱や梁などに使用される針葉樹には住みつかない |
7 | 竹も好物としている |
キクイムシが発生する時期は?
キクイムシは幼虫の期間が長く、およそ10ヶ月の間は木材の中に住んでいます。 この期間に木材の中を食い荒らして成長を続けます。 つまり、キクイムシの被害のほとんどは幼虫の仕業です。
幼虫は産卵した翌年の2月~6月頃に蛹になって、8日~20日かけて成虫に変貌します。 成虫にふ化したキクイムシは木材に穴を開け、表面に出てきます。この時に初めてキクイムシの存在を知るケースがほとんどです。
キクイムシの成虫の寿命は短く3週間~5週間程度です。「 すぐに死ぬのなら放置してもいいかな?」と思うのは危険です。
成虫は交尾をしたあと木材の中で産卵を行うので、早めに駆除しないと翌年に大量発生し、被害が拡大するかもしれません。 とにかくキクイムシを発見したら早急に駆除しましょう。
キクイムシの発見方法は?
キクイムシが蛹から成虫にふ化して木材の外に出ようとする時に、静かにしていると「ガリガリ」と音がします。また、フンや木材の屑が白っぽい粉として見つかることで、キクイムシの存在に気付きます。
また、成虫の死骸を発見することも多く、そうなると繁殖している可能性があるので要注意です。 とにかく木材の表面に開ける穴や成虫の死骸は小さいので、よく見ないと見逃す恐れがあります。
家具や床材に小さな穴が開いていたり、白っぽい粉や成虫の死骸が見つかったら、 キクイムシがいる可能性が高いのですぐに対処しましょう。
<キクイムシの被害が疑われる3つのサイン>
1. 室内に白っぽい粉や小さな木くずが見つかる。
2. 家具や床材に小さな穴が開いている
3. 静かにしていると室内からガリガリという音が聞こえる。
キクイムシの被害は
キクイムシの被害で最も大きいのは床材です。最近の住宅の床材は固くて傷つきにくく、色合いも多様な広葉樹の木材が人気で主流となっています。
木材の製造過程で 幼虫や卵はほぼ死滅しますが、施工後に何らかの条件で産卵され、被害が出ているのが現状です。 キクイムシの被害は、基本的に幼虫によるもので成虫は木を食べることもなく、人を刺したりもしません。
成虫には直接的な被害はありませんが、交尾を行い産卵するので翌年の被害のことを考えるとしっかりとした対処が必要となります。
キクイムシの効果的な駆除方法
キクイムシを発見したり、その兆候を見つけたら急いで対処することが重要です。 具体的な駆除対策を考える前にまず応急処置で、キクイムシが開けた穴の全てに直接殺虫スプレーを注入しておきましょう。
具体的な駆除方法としては以下の2つがあります。
専門の業者に依頼する
多少のコストはかかりますが、専門業者に依頼することをお勧めします。 特に木材の表面が穴がたくさんあったら、何世代にも渡って被害を受けていることが想定されます。
そうなると大切な家具や床材の内部がスカスカで、見た目以上に傷んでいることもも考えられるので、早急に専門業者に依頼して徹底的に駆除する必要があるでしょう。
殺虫スプレーを使って自分で駆除する
ベストな選択は専門業者に依頼することですが、費用やコスト面がどうしても気になってしまう方は、 自分で駆除するという選択もあります。
自分で駆除する際には、「ピレスロイド系の殺虫スプレー」を使いましょう。ピレスロイド系は虫に対しては即効性があり、人体に対しては毒性が低いのが特徴です。
キクイムシ専用の殺虫スプレーは、お近くのホームセンターやドラッグストアなどでも市販されているので確認してみましょう。殺虫スプレーで成虫を駆除する場合は、周りに火の気がないことをチェックしてから吹きつけてください。
木材の中に隠れている幼虫を駆除する場合は、専用のノズルを穴に差し込んで、奥まで届くように注入しましょう。
注入し終わったら幼虫が逃げないように穴に木屑を詰め込んだり、テープを貼って穴を塞ぎます。薬剤の注入は時間を空けて何回か行うとより効果的です。
キクイムシ駆除を依頼するときの料金相場(専門業者)
害虫駆除の専門業者に依頼した場合の平均的な相場は、およそ 2~3万円です。 しかし、これはあくまでも平均相場なので、それぞれのケースや状況によって金額は大きく異なってきます。
まずは何社かに対して見積もりを取ることをお勧めします。専門業者といってもピンキリなので、料金の安さだけではなく会社の規模やネットの口コミなどの評判を調べて、慎重に業者を選びましょう。
特に「害虫駆除の実績がどれだけあるのか」「保証もしっかりした信用のおける会社なのか」などが見極めのポイントです。
キクイムシの対策は予防することも大事!
キクイムシの駆除は1度行なったとしても、期間が経過すると再発生する可能性も否定できません。 駆除対策をしたにもかかわらず後で発生してしまったら、ショックを受けますよね。
そのためにも2度と発生しないように、予防対策を講じることが大事です。ここではいくつかの効果的な予防策について紹介します。
キクイムシが嫌いな木材を選ぶ
キクイムシはスギやヒノキなどの針葉樹の木材を好みません。この木材を使った家具や床材を使用すれば、キクイムシの被害は抑えられるでしょう。
しかし、すでに暮らしている住宅でキクイムシ駆除のためだけに、家具や床材を新調するのはコストがかかりすぎます。この予防策はあくまでも新築や改築の予定がある場合の方に限られるでしょう。
新築や改築、 あるいは引っ越しの際に家具の新調を予定されている方は、後悔しないために予防対策を検討しましょう。
キクイムシが住み着かない木製品を選ぶ
キクイムシは木材の奥深く繊維の中に入り込むので、家具や建具として製品化されてしまうと発見することが困難です。
樹木から家具などを作るためには、切り出した丸太を乾燥させてから板状や柱状に製材するのですが 、これだけでは不十分で乾燥方法や乾燥時間が適切でない場合に、キクイムシなどの害虫を追い出せないこともあります。
キクイムシは煙や熱が苦手なので、製剤の時点で「熱処理」や「燻煙処理」をした木材には棲みつかなくなります。少々高価になりますが、これらの処理をした木材で作った製品を選択すると安心ですね。
防腐剤やニス、塗料を定期的に塗る
防腐剤やニス、塗料を定期的に塗ることは、木材の劣化を防ぐだけでなくキクイムシなどの防虫効果もあります。
大切な家具に殺虫剤をかけるのは躊躇しても、 ニスを塗ることには外観的にも抵抗を感じる方は少ないでしょう。床材に塗る場合は、業者に依頼すれば早くて綺麗に仕上がりますが、費用を抑えるならば自分で行うことも選択の一つです。
キクイムシの被害は予防と駆除の両方で対応しよう
キクイムシは1度駆除しても、条件さえ整えば再度発生することも考えられます。その点から言うと対策としては、 駆除と予防の両方を考えることが重要です。
そのためにはまず、本記事で書いた 「キクイムシの存在が疑われる3つのサイン」 に注意して、 もし発見したら速やかに駆除対応することです。また、その兆候がなくても普段から予防対策を実施しておきましょう。
大切な住まいの家具や床材を末長く大切にするために、本記事で紹介したキクイムシの駆除方法や予防対策を参考にしていただければ幸いです。