花粉症の一般的な症状といえば、「くしゃみ・鼻水・目のかゆみ」などです。しかし、花粉症アレルギーでも稀に「咳や喉のイガイガ」などの症状が出るケースもあります。
そこで今回は一見、症状だけでは見分けにくい風邪と花粉症の見分け方や、花粉症が原因となって発症する咳の原因と、その改善方法について解説します。
目次
なぜ花粉症が原因で咳が出るの?
花粉症の症状といえばやはり「くしゃみ、鼻水、目のかゆみ」ですよね。それではなぜ花粉症なのに咳や喉の症状が出るのでしょうか? その原因を探っていきましょう。
花粉症の症状の中には咳が出る症状もある
花粉症とはスギなどの花粉を吸い込むことによって現れるアレルギー症状の総称のことで、アレルギーを起こす部位によって症状が分かれます。 以下の表に花粉症の症状と部位 をまとめてみました。
花粉症アレルギーの部位や症状
部位 | 病名 | 症状 |
鼻 | アレルギー性鼻炎 | くしゃみ・鼻水・鼻づまり |
目 | アレルギー性結膜炎 | 目のかゆみ・充血・涙 |
皮膚 | 花粉症皮膚炎 | 皮膚のかさつき・赤み・かゆみ |
喉 | アレルギー性咽頭炎 | 咳や喉のイガイガ |
上記が花粉症アレルギーの部位や症状ですが、 一般的症状として知られている花粉の症状以外にも皮膚や喉に対してアレルギー症状を起こすこともあります。
上記の表を見れば分かるように、アレルギーを起こす部位が喉に現れた時、 咳や喉のイガイガなどの症状を起こし 、これをアレルギー性咽頭炎と言います。
個人差がある 花粉症の症状
花粉症の症状には個人差があります。 鼻の症状や咳などに加えて頭痛と発熱があるケースもあります。
毎年のように花粉症を経験し自分の症状を熟知している場合は問題ありませんが、初めての花粉症の場合は、風邪の諸症状と勘違いしても仕方がないでしょう。
咳の症状しか出ない花粉症もある
花粉症はどの部位がアレルギー反応が起こすかによって症状が決まります。中にはアレルギー性咽頭炎による咳や喉のイガイガの症状しか出ないケースもあります。
花粉症と風邪、症状の見分け方
花粉症と風邪は症状が似ていて見分けずらいですが、 よく比較するとそれぞれ特徴があります。
症状 | 花粉症(アレルギー性鼻炎等) | 風邪 |
くしゃみ | 発作的に連続で出る | よくある |
鼻水 | さらっとして透明な鼻水 | 粘りのある黄色い鼻水 |
鼻づまり | よくある | よくある |
鼻症状の特徴 | ・朝方に症状が強い・特定の時期に限る(花粉飛散期) | 初期の鼻水はさらさらで透明だが、次第に粘り気のある黄色い鼻水へ |
鼻以外の症状 | ・目がかゆい、涙が出る、咳・ 匂いや味が分かりにくい 、微熱 | ・咳や痰、喉の痛み、声のかすれ・症状が進むと体のだるさ発熱など |
花粉症の場合、くしゃみが発作的で連続に出るのが特徴です。その他にも鼻水の状態はさらっとして透明で、発症の時期が花粉飛散時期の間に限られます。 また、 風邪のように症状の進行が見られず、3~4日同じ状態が続くようでしたら花粉症を疑ってみる必要があります。
花粉症が原因の咳を改善する方法
ここからは、花粉症が原因になっている咳の症状を緩和する方法について解説します。
市販薬を試す
花粉症が原因の咳であっても市販薬の「咳止め」が有効です。症状として「咳止め」の効能を含んでいるタイプの薬を利用するようにしましょう。
1)抗アレルギー薬の服用で咳を抑えられるのか?
花粉症に対してよく利用される抗アレルギー薬に「アレグラ・アレジオン」がありますが、この薬はアレルギー性鼻炎用の薬で、くしゃみや鼻水には有効ですが咳には対応していません。自分が抑えたい症状に合った薬を薬剤師と相談してから購入するようにしてください。
一般的に市販薬は複数の薬効を複合的に使用しているため、「咳止めの薬」と「抗アレルギー薬」を同時に使用すると作用が強すぎたり、副作用が出やすくなるので複数の症状があるときは病院に行くようにしましょう。
2)漢方薬で咳症状を緩和する
漢方薬の中にも咳症状を抑える薬があります。 「激しい咳や喉の乾燥」が気になる方は麦門冬湯(バクモンドウトウ)という 漢方薬が効果的です。 また、くしゃみや鼻水などの諸症状には小青竜湯(ショウセイリュウトウ)が有効です。
漢方薬は西洋薬に比べ比較的副作用が少ないとされていますが、漢方薬の種類によっては副作用の強い薬もありますので、服用の際は持病のお持ちの方や高齢者など、注意が必要な方は主治医や薬剤師、登録販売者に相談しましょう。
<漢方薬服用の際に医師や薬剤師に相談する必要のある方>
・高齢者
・持病がある医師の治療を受けている方
・妊婦又は妊娠している可能性のある人
・ 透明な水溶性の痰が出る人
・ 高血圧・心臓病・腎臓病の診断を受けたことがある人
・むくみ症状ある人
加湿する
喉の乾燥は咳の原因になります。水を飲んだり、部屋を加湿したりして乾燥を避けることが喉を守るには重要です。
喉に良い食事をとる
喉に良い食事をとることも重要です。 にんにくや生姜は喉を止める働きをすることで有名です。毎日の食事に上手に取り込んでいきましょう。
赤ちゃんや子供の場合も大人と同じ方法でできるの?
生活面で注意することは大人と同じで良いのですが、市販薬については使用できないことがありますので必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
花粉症の人で一向に良くならない酷い咳は喘息かも!
花粉症の季節にひどい咳に悩まされる方がいます。それもかなりひどい咳の症状で、「咳が出だすとなかなか止まらない」「 夜に咳が苦しくて寝られない」 と訴えるような場合です。
咳と言うと一般的な風邪か、この記事で紹介している花粉症アレルギーによる喉の炎症(アレルギー性咽頭炎) などが考えられますが、 病院を受診して風邪薬や咳止め、抗生剤などを処方しても一向に良くならないケースがあります。
こういったケースでは気管支喘息が疑われます。しかし、花粉症と喘息の関係がわかったのは最近のことで、医師であってもスギ花粉 によって喘息が起きうることを知らない場合が珍しくありません。 ましてや一般人が知らないのは当然といえるでしょう。
なぜ花粉症で喘息が起きるのか?
喘息が起きる原因は、何らかのアレルギー物質が気管支に入り込みアレルギー反応を起こし、それによって気管支の粘膜が炎症が起こるからです。
スギ花粉の大きさはおよそ0.03~0.04 mm です 。この大きさだと気管支に入るには大きすぎて、喘息は起こさないというのが今までの医学常識でした。
しかし、最近ではスギ花粉の表面に「オービクル」と呼ばれる1um(マイクロ)以下の微粒子が存在することがわかりました。そして花粉粒から剥離したオービクルを人が吸収することにより、気管支などでアレルギー反応が起こり、喘息を起こすことが知られています。
花粉症にともない喘息がある場合は、花粉治療だけでなく喘息の治療を念頭におくことが重要になります。
花粉症による咳が酷い場合は、すぐに病院へいこう!
咳の症状が長期間続くとそれだけで体力が奪われていきます。 また花粉症の効能は同じ働きであっても、個人差があるので注意が必要です。
自分に合った治療薬を見つけるために 、 早めに病院に行くことをお勧めします。 花粉症による咳がひどく辛い場合は、「呼吸器内科」を受診するようにしましょう。
また、咳症状だけでなく花粉症全般の症状がある場合は、「 内科・呼吸器内科・耳鼻科」のいづれかを受信してください。