自宅の庭で草花を育てたり、ハーブを収穫したりできる人気のガーデニング。 家族との話題が増え、植物に癒される豊かな暮らしを実現できます。
しかし、そんな魅力的なガーデニングにも避けて通れないのが、 庭木に発生する害虫の問題です。 今回の記事では庭木に発生する害虫の種類や 特徴、発生しやすい時期と具体的な駆除の対策について紹介します。
目次
庭木につく主な害虫7種類について
ここでは庭の草木につきやすい 主な害虫7種類について、その特徴や庭木への影響などについて解説していきます。
(1) カイガラムシ
カイガラムシは、ほとんどの庭木に一年中発生する害虫です。 種類としてはカメムシの仲間で、葉や茎にくちばしをさして汁を吸い取ります。カイガラムシの種類は多く大きさや形は様々ですが、カイガラムシと言う呼び名がある種類だけでも400種類以上です。
カイガラムシは庭木の水分をとってしまうので、 葉っぱや芽が枯れてしまうケースがあり、カイガラムシがついていた茎や枝には、白い小さな斑点が残ります。
産卵から孵化の時期は、5~7月頃で、 夏になると繁殖が始まり9月頃に成虫になります。繁殖を防ぐには春から夏までの間に対策することが効果的です。
体長:2~10mm
発生時期:1年を通じて
(2) アブラムシ
アブラムシは植物の新芽や蕾に群生し、 植物の汁を吸い取りその植物の生育を妨げます。一度に大量発生することが多く、春や秋に発生しやすい害虫です。庭木の草木や花、野菜などほぼ全ての植物を害します。
アブラムシは植物の水分をとるだけでなく、ウイルスを媒介して植物にダメージを与え、大量のアブラムシに浸食された植物はやがて 枯れてしまうことになります。
体長:1~3mm
発生時期:1年を通じて
(3) チャドクガ
チャドクガは日本の代表的な毒蛾です。 茶の木などツバキ科の葉によく発生することから茶毒蛾(チャドクガ)という名前が付けられました。
体長は約25 mm 程度でオスが黄色、メスは黄色か褐色をしています。 幼虫期はいわゆる毛虫と呼ばれるような見た目で、黒く見える模様のところに小さな毒針毛(どくしんもう)と呼ばれる目に見えないほどの小さな毒毛を持っています。
この幼虫に触れたり、 飛んできた毒毛が皮膚に刺さることで、皮膚炎を起こしますので注意が必要です。幼虫はツバキ科などの葉に密集して集団で葉を食べてしまいます。
体長:25~35mm(成虫)
発生時期:年2回、幼虫が4~6月と8~9月頃に発生し、成虫が7~8月と9~11月
(4) アメリカシロヒトリ
アメリカシロヒトリは雑食性の害虫で 、強い繁殖力を持つ蛾です。被害をもたらす幼虫は5月中旬から8月下旬にかけて発生します。幼虫は100種類以上もの樹木につき、 大量発生して葉脈の状態になるまで食べ尽くします。
見た目がチャドクガに似ているため 有毒と勘違いされますが、無毒で人を刺すことはありません。
体長:約30mm
発生時期:5~8月
(5) イラガ
イラガは毒を持っている蛾で、 幼虫の体長は15~25 mm程度です。毒毛に触れると電気が走ったような鋭い痛みが生じるので、触らないように注意が必要です。
雑食性の種類が多く、若い幼虫が葉の裏に寄生して食害をします。幼虫が成長して大きくなると 食欲旺盛で葉をほとんど食べてしまいます。
体長:15~25mm(幼虫)
発生時期:7~11月
(6) ハマキムシ
ハマキムシとはハマキガ科に属している蛾の幼虫の総称で、 その種類はなんと500種類以上とも言われています。新芽や新葉を好んで食べ、糸を使って葉を丸めて身を隠すのが特徴です。
葉っぱが丸くなっているところが葉巻に似ているため、「ハマキムシ」という名前がつけられたようです。 葉を食べるだけでなく丸めてしまうので、庭木の見た目にも影響します。 発生回数は他の害虫よりも多くて年に4~5回発生します。
体長:約20mm(幼虫)
発生時期:4~11月(真夏をを除く)
(7) ハダニ
ハダニは葉の裏に寄生して葉の汁を吸います。その影響で吸われた部分の葉緑素が抜けてしまい、針先でチョンとついたような白い小斑点ができます。 少ない数だと判別しにくいですが数が多い場合は、カスリ状となって見えるため判別しやすいです。
この状態がさらに進行すると葉の色が悪くなり、草花や野菜は枯れて落葉することもあります。 庭木などの場合では枯れることはありませんが、生育が阻害されるだけでなく美観も大きく損なわれてしまいます。
体長:約0.5mm(幼虫)
発生時期:3~9月
自分で対処できる害虫駆除の方法
自分で対処する害虫駆除の方法として、まず思い浮かぶのは市販の殺虫剤の噴霧による方法です。一般的に畑の農作物などに利用しますが、 ガーデニングの庭木や草花などの場合は、 人との接触回数が多くなるため人体への影響が心配です。
また、近隣にも迷惑がかかる可能性があります。その点、草木灰や木酢液を使うと人体に悪影響なく、害虫対策が実行可能です。
草木灰とは、草木を燃やすことでできる灰のことで、害虫に対して忌避効果があり、灰の中に含まれる水溶性カリウムによって即効性もあります。害虫が発生しそうな箇所や、すでに発生した場所にのみ適量を散布するようにしましょう。
木酢液とは、炭が生成される過程で発生してくる水蒸気を冷却したもので、除菌作用や消炎効果があります。使用方法としては、水1 L に対して木酢を小さじ一杯の割合で混ぜ合わせます。
葉に使用する時には、葉から水滴が落ちるくらいに大量に使用することで、葉だけでなく土の方にも木酢液を浸透させることが大切です。
また、アブラムシの駆除対策として牛乳や酢をスプレーするという方法もあります。牛乳に含まれている脂肪が膜となってアブラムシを覆うことで、繁殖や被害を防ぐことができます。ただし牛乳をスプレーする時は、薄めずにそのまま吹きかけてください。
注意して欲しいのはアブラムシの駆除が完了したら、ちゃんと洗い流してください。牛乳スプレーをしたまま放置すると、牛乳が腐ることで葉を枯らしてしまう恐れがあります。
さらにお酢を使った方法もあります。 やり方としては水500ミリリットルに対して小さじ1杯程度の酢を混ぜ合わせ、スプレーボトルに入れて 対象となる植物に吹き付けてください。 お酢は害虫駆除というよりも、忌避効果によって害虫を寄せ付けないようにします。
プロの駆除業者に任せた方がよい場合とは?
引用元:DUSKIN/庭木の管理
庭木の数がたくさんある場合や、高さのある庭木で脚立ての上で作業する場合など、1人ではやりきれなかったり、転倒リスクを伴ったりする場合があります。
また、奥行きの深い生垣などは奥まで殺虫剤を行き渡らせることが難しく、うっかり害虫に触れてしまうというトラブルも発生する恐れがあります。そういった場合には無理をしないで専門の害虫駆除業者に 任せた方が良いでしょう。
まだ、自分で作業できるレベルの範囲であったとしても、忙しすぎて害虫駆除を先送りするしかないなら、放置しないで業者に依頼することをお勧めします。
害虫を見つけたら早めに駆除を
害虫は大切に育てた庭木や草花の美観を損ねたり、被害がひどい場合は枯らせてしまったりします。また、それだけでなく誤って害虫に触れてしまった場合、かゆみや痛みを伴う皮膚炎を引き起こします。
害虫の対策は、遅れれば遅れるほど取り返しがつかなくなりますので、 大切な庭木に害虫がついていることを発見したら、先送りせずすぐに対処しましょう。