農作物で一番厄介な問題は害虫対処です。最近では家庭菜園やガーデニングなどで草花や野菜を育てるのが、とても身近なものになりました。そんな中で多くの方が害虫駆除に頭を悩ませています。
今回は畑を荒らす主な害虫の対策をまとめて解説します。
目次
畑を荒らす8種の害虫と駆除方法
害虫と言っても種類によって及ぼす影響は様々で、駆除の方法も千差万別です。ここでは 、これだけは押さえたい主な害虫8種の対策や駆除方法などを解説していきます。
(1)アブラムシ
【アブラムシの生態】
アブラムシは、多くの植物に寄生をして悪影響を与える害虫です。体調は2~4 mm程度と、とても小さく日本国内だけでも700種類以上も生息しています。
高い繁殖力を持ち、 メスだけで子供を産むことが可能な「単為生殖」という生態を持っています。 また、甘い排泄物を出すことによりアリを味方につけ外敵から身を守ることが可能です。
【アブラムシの駆除方法】
まだアブラムシの発生が少ない場合は、粘着性のあるテープを使用してアブラムシを取り除く方法がおすすめです。 アブラムシは黄色いものに集まるという性質があるのでそれを利用し、黄色い粘着板を使用することで手軽に駆除することができます。
しかし、 あまりに大量発生して対応が難しい時は、 殺虫剤を使用するのも効率の良い対処法です。殺虫剤は種まきや植え付けの時に使用すると効果的です。
(2)アザミウマ
【アザミウマの生態】
「花の害虫」と言われるアザミウマ。施設栽培では厄介な害虫の代表とされています。体長小さく1~2 mm ほどで 繁殖力がとても強く、幼虫・成虫ともに葉や果実から吸引する害虫です。
さらにウイルス病の媒介し、 被害にあうと葉が縮れたり果実に傷がついて奇形になったりと作物の品質を著しく低下させます。
【アザミウマの駆除方法】
アザミウマが寄生した葉っぱは丸くなる性質があるので、「巻き葉」を見つけたら手で取り除いておきましょう。手間はかかりますが確実な方法です。
また、アザミウマは青色や黄色に集まるという性質があるので、その生態を利用して青色や黄色の粘着板を設置して駆除する方法もあります。しかし、大量発生してしまったら 「浸透移行性剤」などの農薬の使用も検討しましょう。
(3)スズメガ
【スズメガの生態】
スズメガの成熟期の幼虫は5~10 cmくらいになる芋虫で、お腹の端っこの部分に角を持った特徴のある形状をしています。
成虫は羽を広げると5~10 cmくらいあり、種類によっては時速50 km以上のスピードで移動することができ、花の蜜や樹液をストローのような長い口を利用して吸うことが可能です。
スズメガは主に夜行性ですが日中に飛ぶものも多く存在し、飛びながら葉っぱに卵を1個ずつバラバラに産み付けていきます。
【スズメガの駆除方法】
スズメガが飛んでいるのを見つけたら、卵を産みつけられている可能性があるので、周辺の葉を丁寧に調べて卵 が付いた葉があったら取り除いておきましょう。
また、植物の葉や根元付近につぶ状の糞が落ちていたら、幼虫がいる可能性があるので葉の裏などを探して箸でつまんで捕獲するか、葉ごと切り取って駆除します。
(4) コナジラミとは
【コナジラミの生態】
コナジラミは、野菜や草花、果樹や庭木など、多くの植物の葉や花などに発生します。成虫は白く細長い羽を持ち、見た目は蛾のような形をしています。 体色は黄色で体長は2 mm 程度の小さな虫です。
コナジラミは適温であれば約28日周期で発生し、卵から幼虫・さなぎ・成虫へと成長サイクルを何度でも繰り返すので大量発生しやすいです。 幼虫成虫ともに葉の裏側から汁を吸い、吸われた葉は葉緑素を失って白いカスリ状になります。
【コナジラミの駆除方法】
コナジラミの発生がまだ少ない時は、ご家庭にある牛乳と水を1対1で混ぜた液を晴れた日に霧吹きすることで、コナジラミを窒息死させることができます。
また、コナジラミの黄色に集まる性質があるので、「黄色い粘着板」を設置することでも駆除することが可能です。
コナジラミは太陽光線を嫌う習性があり、これを利用してシルバーのマルチ反射シートを貼ることで、コナジラミを近づけないようにすることができます(忌避効果)
(5)カイガラムシ
【カイガラムシの生態】
カイガラムシはとても小さな虫で体長約2~10ミリ程です。 日本国内では400種類ほど確認されていて、植物があればどんな場所にもいるというほど身近に生息する害虫です。
葉や茎にくちばしを挿入して樹液を吸うことで成長していきます。植物に寄生した後はほとんど動かなくなるのが特徴です。 吸汁によって植物の生育に悪影響を与えたり、分泌液や排泄物に含まれる糖分が原因で「すす病」を起こします。
【カイガラムシの駆除方法】
カイガラムシの駆除は、卵から孵化したばかりの幼虫の時期に農薬や殺虫剤を使って駆除する方法が一番効果的です。殺虫剤を使用したくない場合は、 牛乳や木酢液を吹きかける方法でも駆除は可能です。
成虫になると硬い殻に覆われるので、幼虫に比べると駆除する難易度が上がってしまいます。成虫の場合は植物を傷つけないように棒や歯ブラシなどを使って引き剥がしましょう。
(6) コガネムシ
引用元:Wikipedia/コガネムシ
【コガネムシの生態】
コガネムシは本州から四国九州を始め種類によっては、北海道や沖縄、奄美など日本国内に広く分布しています。体長は約17~24 mmで体色は光沢のある綺麗な緑色の虫です。
幼虫として土の中で越冬した後、成虫になると春の終わり頃から夏にかけて活動が活発化します。 主に雑木林などに生息していますが、住宅街の庭木に被害を与えることもあります。
【コガネムシの駆除方法】
コガネムシの幼虫が好む環境は、土に未熟な堆肥(たいひ)や腐葉土などの有機物が混ざっている土壌です。コガネムシの産卵に適していて大量発生の原因にもなります。
土を耕す時にコガネムシの幼虫を発見したら、被害が広がる前に速やかに取り除いて起きましょう。
また、成虫が産卵できないようにビニールシートなどで植物を保護することも大切です。成虫は早朝が動きが鈍いので、枝を揺らして落ちてくるのを捕獲します。コガネムシの完全駆除をしたい場合は薬剤(駆除剤)の利用も検討しましょう。
(7)テントウムシダマシ
引用元:Wikipedia/テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウ )
【テントウムシダマシの生態】
テントウムシダマシは体長7mm 程度の昆虫で、寿命は約2~3年位です。年に1回~3回、メスは1度に数十個の卵を産みます。そのため生息環境が整っていると物凄いスピードで大量発生します。
テントウムシは、アブラムシを食べる事で益虫として扱われていますが、テントウムシダマシは、野菜や草花を食べる害虫です。被害を受けるのは、茄子やトマトなどのナス科の植物で、若い成虫はかぼちゃやキュウリなどウリ科ヤマメ科の食害をします。
【テントウムシダマシの駆除方法】
テントウムシダマシは、繁殖力が大きいので放置しておくと野菜に甚大な影響を与えてしまう恐れがあるので早期発見、早期駆除することが大切です。
生息するのは葉の裏や株元の付近にいることが多いので、葉の裏に卵や幼虫が付着していたらガムテープなどを使って駆除するか、葉ごと切り落とすなどの対応をしましょう。成虫の場合は振動させることで落ちるので、ゆすりカップや網を使用して捕獲しましょう。
(8)イラガの幼虫
【イラガの幼虫の生態】
イラガの幼虫は様々な樹木に生息していて、体長は約25mm 程度です。幼虫の体中にある棘は毒を持ちます。棘に触れると激しい痛みを伴い、 湿疹やかぶれができることもあるので注意が必要です。
若い幼虫は、葉の表面の皮を残して葉裏から食べ、食べられた部分には白い斑点の跡が残ります。成長した幼虫は葉全体を食害するので、ほとんどの葉が食べ尽くされてしまう場合もがあります。
成虫になったイラガは食害はせず、毒もなく灯りに集まる習性があります。
【イラガの幼虫の駆除方法】
幼虫の数が少ない場合には、白い斑点や葉の食べられた痕を見つけ出して、葉の裏など中心に周りをチェックしましょう。体に棘のある幼虫を見つけたら、直接触れないで葉や枝ごと切り取ってすぐに処分します。
大量発生していた場合は、「有機リン系殺虫剤」などの薬剤が効果的ですので、見つけたら早めに薬剤を散布しましょう。薬を噴霧した後少し時間をおくと、幼虫がポトリポトリと落ちてきますので処分しましょう。
被害を防ぐためにはそれぞれの害虫にあった対策をとろう!
畑の害虫を防ぐには、水はけや風通し、日当たりといった植物の生育に不可欠な栽培環境を整えることや、耐病性や抵抗性のある強い品種を選ぶことも有効です。
また、畑に悪い影響を与える害虫はたくさんの種類があり、駆除方法も害虫によってそれぞれ異なってきます。実際の害虫駆除対策を実施するときに大切なことは、それぞれの害虫に合った駆除対策を理解して実施することが重要でしょう。