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退職金は財産分与に含まれるの? 対象となるポイントと計算方法を詳しく解説

厚生労働省の発表によると令和元年の一年間の離婚件数は、 210,000組、1,000人当たりの離婚率は1.70でした。

離婚の際にトラブルの大きな要因になるのがお金の問題です。特に熟年離婚ともなれば、蓄えた財産によって大金のやり取りが財産分与として発生する可能性があります。

そこで今回の記事では、退職金における財産分与の判断について、そのポイントも含め詳しく解説していきたいと思います。

退職金は財産分与の対象にできるのか?

結論から言うと退職金が財産分与の対象になる可能性は十分あります。 なぜなら、退職金は給与の後払いという性質があるからです。

退職金が既に給付されて手元に存在するケースでは、確実に分与可能です。ただし、まだもらっていない場合には難しく、特に給付されるのがずっと先になるケースでは、財産分与の対象から省かれることがあるので注意する必要があります。

退職金が財産分与に含まれるケースとその計算方法

ここでは退職金が財産分与の対象になるケースとその計算方法について解説していきます。

退職金が既に支払われているケース

退職金が相手に既に給付されている場合は、基本的に財産分与の対象になります。

退職金は性質として給与の後払いという意味があるので、 既に給付されている場合は夫婦の共有財産として扱われるケースがほとんどです。

財産分与の対象になる退職金額は婚姻期間によって左右され、婚姻期間が長ければ長いほど、金額は大きくなります。 

ただし、婚姻期間といっても同居期間に限りますので要注意です。当然別居期間がある場合はその期間を含みません。計算式は次のようになります。

(退職金額)× 婚姻期間(同居期間のみ) ÷  勤続期間 = 財産分与の対象になる退職金額

退職金がまだ支払われていないケース

まだ退職金が支払われていないケースでも、「今の時点で退職金が支払われることが確実であると想定される」時は、財産分与の対象となる可能性が高いといえます。

退職金が支払われるかどうかについては、以下のような観点から総合的に判断されます。 

1.会社の就業規定に退職金の給付を定めているか

2.会社の経営状況はどうか

3.相手の勤務状態は?

4.退職金が支払われるまでの期間

まず会社の就業規定に定められていなければ難しいと考えた方が良いでしょう。また会社自体が倒産危機にある場合は、退職金の給付は難しいと判断されます。

また、退職金が支払われるまでの期間が今から換算して10年以上かかるようなケースでは、 現実的ではないと判断されかねません。さらに相手の職歴が転職を繰り返しているような場合は、信頼性に欠けるため退職金が支払われる可能性は低いと思われます。

今後支払われる退職金の計算方法については、明確に定められたものはありませんが、現時点で代表的な計算方法の2つを以下に紹介します。 

1.今の時点で退職すると仮定して計算する方法

基本的に別居した時点での退職とみなします。別居していなかった場合は、離婚した時点での退職とみなして退職金を算出します。 算出の方法は就業規則や雇用計画書などを参考にしながら算出してください。 

財産分与として計上する退職金額は、前述で示したように以下の計算式です。

(退職金額)× 婚姻期間(同居期間のみ) ÷  勤続期間 = 財産分与の対象になる退職金額

仮に退職金が2,000万円で相手の勤続期間が30年、 婚姻期間が10年と仮定すると以下のような計算式になります。

  • 2000万円 × 10年 ÷ 20年 = 1000万円

このケースでは退職金の財産分与の対象は1,000万円です。

また別居期間が婚姻期間中に含まれるケースでは下記の計算式になります。

退職金額 × (婚姻期間-別居期間) ÷  勤続期間 = 財産分与の対象になる退職金額

ここで言う別居期間は、夫婦関係の悪化が原因による別居のケースで、 会社からの命令による単身赴任などは含まれません。

2.定年退職時に受け取るであろう退職金を想定して計算する方法

定年時に受け取る退職金を計算して、退職金の金額を算出するケースもあります。その場合は定年時の退職金から、婚姻期間以外の労働分と中間利息を引くことで計算できます

ある裁判事例では、夫が6年後に受け取る予定の退職金を財産分与の対象として認められた判決が出ました(東京地方裁判所/平成11年)。 

退職金の分割割合を取り決めする方法

退職金の分割割合について互いに合意することは簡単ではありません。実際に合意できない場合も数多くあります。このようなケースではどのように決めて行けば良いのでしょうか。 

夫婦の寄与度(貢献度)を考慮して分割割合を決める

対象となる退職金の金額が判明したら、次は夫や妻のそれぞれの取り分を決める必要があります。

取り分は、夫婦間の財産分与の割合をどう決めるかで決まります。 離婚協議から調停や裁判に移行された場合は、原則として1/2での分割です。 しかし、協議離婚による話し合いの段階では、自由にその割合を決めることができます。 

その時に重要な条件となるのが 「寄与度」です。寄与度とはお互いの貢献度のことで、この貢献度が 財産分与の分割割合を決める上での鍵となります。

財産分与の割合について夫婦間で合意ができたら、「公正証書」に必ずまとめましょう。公正証書として残しておくことで 、その後相手が約束を守らなかったなどのトラブル発生時に有効に働きます。

相手が公正証書に書いてある合意した内容を守らなかった場合に、執行受諾文言(債務不履行の場合、直ちに強制執行に服する)の記載があれば、すぐに「差押え等の強制執行」を取ることが可能です。

 そのためにも、公正文書の作成時には記載する文言等についてよく検討しておくことが大切です。 

話し合いで決着できない時は調停を申し立てる

協議離婚による話し合いの場でどうしても決着できない状況になったら、調停に移行しましょう。

調停に進めば専門の調停委員が介入して、話し合いの調整をしてもらえます。相手と二人きりの直接対決ではなくなるので、雰囲気も良くなり冷静に対処することができます。

また、調停委員から客観的な意見をもらえるので、財産分与の相場など分かりやすく理解できるのがいいですね。調停が成立すれば合意に達した内容は、調停証書として記録されます。

もし相手が約束を守らなかったは、その調停証書に基づいて差し押さえ等の強制執行が可能です。

調停で決着できなければいよいよ裁判へ

調停の場でも合意ができなければ、いよいよ裁判へと移行することになります。調停では当事者同士の合意が尊重されましたが、裁判では最終的な判断は裁判官に全てを委ねられています。

判決に重要な影響を与えるのは証拠物件です。裁判に進む前に十分な証拠を集めておくことが特に重要です。裁判になった場合はほとんどの、財産分与の割合は1/2になります。

 裁判になると費用の負担も大きいですし、 精神的な負荷も重なります。裁判をするかどうかは十分な検討してから判断した方が良いでしょう。 

年金分割には注意しよう

「熟年離婚」という言葉をよく聞きます。主婦が熟年離婚を考える理由として「年金分割制度」の存在があります。

例え専業主婦でも夫の年金を分割してもらえば、「嫌いな夫と別れてしかも年金でハッピーな老後が送れる」と考える方も多いようです。

しかし、それはちょっと危険な判断でしょう。 確かに公的年金は財産分割が可能ですが、果たしてそれだけで将来の生活が成り立つかどうか 、かなり疑問です。 そもそも分割できる年金は厚生年金のみです。

例えば会社員だった夫が定年後に受け取る年金が毎月20万円だとしても、そこから国民年金の金額は引かれてしまいます。 しかも、分割できるのはあくまでも婚姻期間中の記録に対する部分だけです。

上記のように夫の年金の半分をそっくりもらえると勘違いしている人が多く、実際のところは期待するほどの金額にはならないのが現状です。

例を出すと婚姻期間が25年で、その期間の平均標準報酬月額が36万円だったケースでは、 諸々計算すると妻が受け取れる年金分は月額3万円強となります。 この金額では自分の国民年金をプラスして計算しても、生活にはとても足りません。

しかも、夫の方にしてももらえる年金から数万円が引かれてしまうので、離婚後夫婦ともども共倒れになる可能性さえあるのです。 

思い悩んだり、理解できない事があったら専門の弁護士に相談しましょう! 

離婚に際しての財産分与の計算は、様々な条件が介入するため非常に難しくなっています。 退職金の計算も難しいですが、退職金以外の財産で財産分与の対象になるか否かの判断も、個々のケースで違ってくるので判断が難しいです。 

その他にも慰謝料や養育費をどうするかという問題もあります。 こういった精神的にもハードな状況の中で、自分が受け取るべき権利をきちんと主張していかなければなりません。


思い悩んだ場合は自分だけで解決しようとせず、離婚専門の弁護士に相談することをお勧めします。 弁護士は問題についてアドバイスしてくれるだけでなく、離婚すべき相手方との交渉や説得に動いてくれますので、安心して先へ進む事ができるでしょう。