モラハラとは直接的な暴力ではなく、 精神的な暴力や暴言、 態度などによって精神的な苦痛を相手に与える行為です。 結婚してから夫の態度が変わり、モラハラ夫になって妻を苦しめるという事例はたくさんあります。
モラハラ夫は、精神的な病を抱えていることが多く、そのぶん離婚することが困難になる可能性が高いです。 今回はモラハラ夫の心理状態に触れながら、離婚するために自分でできる解決方法をまとめて解説します。
目次
離婚を拒否するモラハラ夫の心理を学ぶ
妻をけなし執拗に責め立て続けることで精神的に追い込み、自分の思い通りにしようとするモラハラ夫。
結婚当初は、夫の言動に戸惑うだけかもしれませんが、エスカレートしたモラハラ夫は 、妻にとってただ恐怖の存在でしかありません。なぜここまでに理不尽に責められなければならないのかと、夫の言動は理解に苦しむことが多いでしょう。
実はモラハラ夫の誕生には、 夫がこれまで生きてきた中で背負ってしまった「心の傷」が深く関わっている可能性があります。
モラハラは心の病から生じる
モラハラは病気として認定されているわけではありませんが、 モラハラになる人の多くは精神的な病を抱えています。
現にモラハラの加害者がうつ病を患うケースは多いようです。ここではモラハラの人がどのような病気と関連性が高いのかを紹介します。
1.自己愛性パーソナリティ障害
「自分は特別である」という誇大なイメージを抱いて注目や賞賛を求める一方で、他人からの否定的な評価に対して敏感で傷つきやすく、他者との共感性が薄いという特徴をもつ障害です。
注目されたいという欲求が強すぎるので、注目を浴びるために強い言動をしたり、人を傷つけたりする行為をしてしまいます。
2.アダルトチルドレン
意味としては、親子の関係で虐待があったり家族間に不仲があったりと 、辛い環境で育つ中で「自分の感情との折り合いがつけない」、「対人関係で相手との適切な距離感を取るのが苦手」など、 生きづらさを強く抱えながら生きる人をさします。
● アダルトチルドレンの特徴
(1)感情の起伏が激しい
(2)他人に対して依存的、または支配的
(3)常に他人に対して賛同と賞賛を求める
3.自己肯定感の欠如
自分を愛する力、肯定する力が一般的な人よりも著しく欠落しているために、 依存している相手を失うことを極端に恐れ、 相手に対する過剰な束縛で支配しようとします。
以上がモラハラの人が抱えていると思われる主な病気の例です。 このようにモラハラの異常な言動の裏には、 深い心の障害が隠れているのです。
モラハラ夫が離婚を拒むのは何故?
モラハラ夫は、その根本的な原因として心の病を抱えている可能性があります。離婚を拒む最大の要因も、その精神的なものからくるものだと思われます。
またモラハラする人は、「自分は正しいことをしているのだ」という意識が強いです。 傍から見れば異常な言動も、自分の正当な主張としか考えていません。
妻が自分の言動によってどれほど苦しんでいるのか、離婚まで決意をしたその心情が全く想像できないのです。
そして依存している妻を手放したくない、妻に捨てられたくないという強い気持ちが離婚を拒むという姿勢に表れているのだと考えられます。
モラハラ夫が離婚を拒んだ場合、自分でどう対策するか!
モラハラ夫と別れるために自分でできる対策について解説します。
モラハラの事実を証明するために証拠を集める
モラハラの場合は、その事実を証明する為の証拠がなければ何もできません。次に紹介するような確実な証拠となる物を集めていきましょう。
1.スマホや盗聴器で会話を録音する
日常的に行われている夫のモラハラの事実を証拠として残すために、会話を録音するようにしましょう。携帯は常に身近に置いておくものなので、スマホでいつでも録音できるようにしておくのがお手軽です。
また、Amazon などの通販でペン型のボイスレコーダーが数千円で購入できますので、知られないように確実に登頂するなら、これらの専用機器の購入を検討しましょう。
2.言われた暴言などを記録に残す
スマホやボイスレコーダーで、モラハラの現場を録音することが困難と感じられる方は、 これまで言われ続けてきた数々の暴言や嫌がらせとなる行動を、記録として残るようにノートなどに書き留めておきましょう。
実家がある人は一時避難する
夫と一緒に過ごし続けることは、モラハラをうける妻としてはとても辛いものです。 必要十分な証拠を揃えることができたら、いち早く実家に戻りましょう。
モラハラ夫との生活を我慢し続ければ、ご自身が精神的に潰れてしまいます。何より心の安定を図ることが大切です。
モラハラ夫の友人や知人に相談してみる
モラハラ夫をよく知っている第三者から協力を得ることも効果的です。 少し勇気がいりますが、夫の友人や同僚などに思い切って相談してみましょう。この時にモラハラの証拠を見せることが重要です。
夫がその事実を認めざるを得ない具体的な証拠をつきつけて、 第三者に仲介役として話し合いに 加わってもらうことで、 モラハラ夫も一方的に拒否することが難しくなるでしょう。
しかし、2人きりになった時に逆上する可能性もありますので、 実家や友人宅など逃げられる環境を作ってから話し合うようにしてください。
離婚しなければ裁判まで起こすと強く主張する
モラハラ夫がどうしても離婚を拒んできた時は、 費用がどんなにかかっても離婚訴訟(裁判離婚) をすることをはっきりと相手に伝えることが大切です。
手元に裁判費用がなかったとしても、 信頼できる第三者にあらかじめお願いして口裏を合わせてもらい、裁判費用を借用できることを嘘でもいいから夫に伝えましょう。
そして裁判が始まれば、確実な証拠を握っているので明らかに夫側が不利であることを主張し、 離婚は確実に成立するだろうから何も恐れていないとはっきりと伝えましょう。
夫側も不利であると分かれば、高い裁判費用を払ってまで裁判をするのはリスクが高いと、離婚に合意することも考えられます。
裁判所に調停離婚を申し立てる
モラハラ夫が何を言っても離婚に同意しない時は、離婚調停を申し立てましょう。 調停離婚とは夫婦間での協議で離婚に合意できない、あるいは相手が話し合いに応じてくれない場合に、家庭裁判所に調停を申し立てることです。
調停では、調停委員と呼ばれる人が中心になって夫婦双方の話をよく聞い上で、離婚合意に向けての財産分与や離婚の条件などについて、意見調整をして双方の合意を目指します。
<調停離婚の手順や費用準備など>
● 調停離婚の手続き
必要な書類を準備して最寄りの家庭裁判所に直接持参するか、郵送することで申し立てることができます。
● 費用
収入印紙(1200円分)と 郵送用の切手代金
● 必要な書類
夫婦関係調停申立書とそのコピー
夫婦の戸籍謄本
別居している場合は婚姻費用についても請求しよう
同居していなくても生活費を受け取る権利があります。 別居している場合は、婚姻費用分担請求調停も同時に申し立てましょう。 この時にも収入印紙代1200円が必要になります。
● 必要な書類
婚姻費用についての「分担請求調停の申立書」
夫婦の戸籍謄本
年収を証明できるもの(源泉徴収等)
調停離婚に移行する時に絶対に必要になる心得とは?
調停離婚に移行する時に絶対に必要になる2つの心得を紹介します。
モラハラ夫の巧妙な嘘で調停委員が騙されることも
モラハラ夫は、外面がよく嘘をついて善人を装うことが得意です。そのため調停委員に対して善良で真面目な良い夫を演じることで、調停員を騙す恐れがあります。
その場合に大きな武器になるのが、モラハラの事実を証明する証拠です。確実な証拠さえ調停委員に示して意見を主張できれば、どんな口の上手いモラハラ夫でも自分の虚偽の正当性を主張することは難しいでしょう。
どんなに調停委員が説得を試みても強制力は全くありません
家庭裁判所の調停と言っても、 強制力は全くありません。 仮に調停委員を介した話し合いの中でモラハラ夫の実態が暴かれ、調停委員が妻側の味方になってモラハラ夫に対して離婚を促したとしても、 夫が拒否すれば離婚は成立しません。
調停離婚の限界は、いくら調停委員の協力を得られても、相手を説得できなければ離婚が成立できないところです。 調停離婚で夫婦双方の合意ができなかった場合は、裁判官が最終決定を下す 「裁判離婚」へと移行します。
それでも離婚婚に同意してくれない場合は弁護士に相談しよう!
どんなに手を尽くしても、 モラハラ夫が全く離婚に同意してくれない場合は弁護士に相談しましょう。
モラハラ夫の場合は通常の離婚案件よりも難しいので、出来れば早い段階で弁護士に 相談した方が良いでしょう。 可能であるならば調停離婚に進む前、夫婦同士の話し合いの段階で相談しておいた方がスムーズに進みます。
とにかく自分一人では難しいと思ったら、思い悩まないでまずは弁護士に相談・依頼することを検討しましょう。