衣類の害虫として知られるヒメカツオブシムシ。被害にあった人は「大切な洋服に穴を開けられた」という悲しさだけでなく、見た目の気持ち悪さにもショックを受ける人もいるようです。
今回は衣類の大敵、ヒメカツオブシムシの特徴や大量発生を防ぐための方法などについて解説していきます。
目次
ヒメカツオブシムシの生態について
ここでは、ヒメカツオブシムシの生態や特徴などについて詳しく解説していきます。
ヒメカツオブシムシの外観や大きさ
外観や大きさは以下の表のようになります。
体長 | 体色 | 体形 | |
幼虫 | 8~9mm | 赤褐色 | 同筒状細長く全体が短毛で覆われる |
蛹(さなぎ) | 5.5mm | 淡黄色 | 紡鍾形 |
成虫 | 2.8~5.3㎜ | 赤褐色ないし黒褐色 | やや細長いだるま型の甲虫 |
ヒメカツオブシムシは、カツオブシムシ科マルカツオブシムシ属の昆虫で、カツオブシムシ科の中では小型の昆虫に属します。 日本全国各地に生息し発生は年1回で、幼虫の状態で越冬して春になると成虫に羽化します。
幼虫は生命力が強く 長期間の飢餓状態に耐えることが可能です。 成熟した幼虫では、絶食した状態で6ヶ月~1年間は生存できます。
ヒメカツオブシムシとヒメマルカツオブシムシの違い
カツオブシムシ科に属する昆虫は、ヒメカツオブシムシと、ヒメマルカツオブシムシでの2種類があります。この2種類は、成虫の時の見た目が少し違うだけで活動期間や生態はほぼ同じです。
ヒメカツオブシムシの生態や特徴
ここからは、ヒメカツオブシムシの生態や特徴について、さらに詳しく解説していきます。
1.卵から孵化までは10日~18日
産卵時期は5~6月頃です。1回の産卵は40~90個で、卵から孵化するまでの期間は10~18日間です。日本全国の各地域に生息し、乾燥した場所を好みます。
2.幼虫期間が300日と長い
幼虫でいる期間はおよそ300日と大変長くなっています。家の中ではタンスや衣装ケースの中、流し台の下など暗い場所に生息し、衣類や乾燥した食品などを餌にしながら冬を越します。この長い幼虫の期間に7回~9回の脱皮を繰り返すのが特徴です。
幼虫の頃は、大食漢で自分の体重の2~3倍もの食料を食べます。 特にカシミヤなど動物性の高級な毛が大好きです。
3.蛹から脱皮して成虫へ(抜け殻を残す)
長い幼虫期間を経て成虫になる時には、蛹になって脱皮をしてから羽化します。羽化する時に抜け殻を残します。蛹になるのは春の4~5月頃で、成虫になるのは5~6月頃です。
幼虫の頃は暗い場所を好んで生息しているのですが、 成虫になって産卵が終わった後は、明るい場所で活動するようになります。日中は花粉や花の蜜などを求めて飛び回ります。
4.ヒメカツオブシの発生場所
ヒメカツオブシムシは、 日本各地どこでも見られます。 野外では、白色系の花の蜜が好物なのでキク科の花などにいます。 活動的になるのは春先で、 外に干してある洗濯物に付いたりしますので注意が必要です。
5.なぜ服を食べるのか?
ヒメカツオブシムシはその名前の通り、鰹節を好んで食べます。 それではどうして衣類まで食べてしまうのでしょう?
もちろん鰹節が大好きでも、それだけで繁殖できるものではありません。 実は鰹節だけでなく衣類の繊維も大好物です。 そのため衣類がたくさん保管してあるタンスや引き出しは、ヒメカツオブシムシの最高の環境なのです。
6.主な侵入経路は?
ヒメカツオブシムシは、一体どこから家に入ってくるのでしょう。そのルートが特定できれば予防の対策も取りやすくなります。 実際の侵入経路は「洗濯物」「外出後の服から」「外にある花」の3つです。
その中で特にメインの経路となっているのが洗濯物です。 洗濯物についたまま、たたまれてタンスの中へと侵入します。 後は外出時に着ていた服についてそのまま家に入ってしまうケースもあるでしょう。
7.ヒメカツオブシムシは水に弱い!
ヒメカツオブシムシの弱点は水です。 発生が疑われる衣服は、1度洗濯をすることによって虫は完全に死滅します。
虫食いに遭いやすい服とは?
ここからは、ヒメカツオブシムシに狙われやすい衣服について紹介します。
ヒメカツオブシムシが好む衣類
ヒメカツオブシムシは、高級素材のウールやカシミヤなど動物性の繊維を好んで食べます。ウールやカシミヤは、頻繁に洗濯しないでタンスの中でおさまっている時間が長いので、それだけ虫食いにあう危険性が高いことになります。
最近では化学繊維にも つく
化学繊維はヒメカツオブシムシが好きな素材ではないのですが、最近では化学繊維や合成繊維も食べるようになりました。
その理由として、汗や食品でシミになる部分が動物性のものなので、 そこについてしまう場合もあるようです。そのためレーヨンやポリエステルなどの素材も注意が必要です。
ヒメカツオブシムシはなぜ室内に発生するのか?その3つの原因
ヒメカツオブシムシの産卵期は5~6月頃で、この時期に1回に40~90個の卵を産みます。 この産卵期には、注意してタンスやクローゼットを常に清潔にしておきたいものです。
しかし、なぜ室内で発生してしまうのでしょう?ヒメカツオブシムシが室内に発生してしまう主な3つの原因について解説します。
天日干しの洗濯物につく
成虫は日中に活動的になるので、天日干しの洗濯物に付着する場合が多いです。特に白色系の衣類を好むので、室内に入れる時には目視したり、叩いたりして付着した成虫を家に入れないようにしましょう。
外出から帰った時が要注意!
公園や草木の多い場所に行った時には、着ている服に付着する可能性があります。外から家に帰った時は、上着を目視したり叩くなどして家に侵入させないように注意しましょう。
ガーデニングや贈答のお花に入ってる場合もある
ヒメカツオブシムシはキク科の花を好むので、ガーデニングをされている方は できれば菊の花は避けた方が良いでしょう。プレゼントで菊の花をもらった場合は、目視して確認するようにしてください。
ヒメカツオブシムシの繁殖を予防できる環境を作ることが重要!
注)外出時に付着する可能性がある
個人ができる予防として「家に侵入させない」「卵を産ませない」という環境を作ることが最も大切になります。
外からの侵入を防ぐ(外出着への付着)
家族で山登りや森林公園など自然豊かな場所へ 遊びに行った時には、 家に入る前に衣服にヒメカツオブシムシが付着していないか、目視で必ずチェックするようにしましょう。 また脱いだ服は放置しないで、洗濯物の籠に入れるようにしましょう。
1匹でも幼虫を見つけたら完全に駆除しましょう!
幼虫を放っておくと大量発生の原因になります。タンスやクローゼットの中で、1匹でも幼虫を見つけたら完全に駆除しておきましょう。
衣類を守るために「幼虫・卵」の徹底駆除をしよう!
大切な衣服を食べて穴を開けてしまうのは、ヒメカツオブシムシの幼虫の仕業です。 幼虫やその卵を徹底的に駆除する方法について解説します。
防虫剤で撃退する
幼虫は一般的な殺虫剤が効きにくい性質があるので、衣類用の防虫剤を使用するのが最も効果的でしょう。 防虫剤は昔から使われているパラジクロルベンゼン配合剤が効果的です。商品名で言うと「パラゾール」が有名です。
少し臭いが気になる方は、エムべントリン製剤、 商品名で言うと「ムシューダ」や「タンスにゴン」などをおすすめします。
圧縮袋を使う
高級衣料品などは、綺麗にした状態で圧縮袋で保管するという方法もあります。 この方法なら虫が侵入する心配はほとんどありません。
熱で死滅させる
ヒメカツオブシムシを含む一般的な害虫は、65°以上で完全に死滅します。 家庭でできる簡単な方法としては、アイロンを当てることです。 衣類だけでなく、カーペット類にもアイロンをあてることで防虫効果につながります。
掃除機で吸い取る
掃除機で吸い取ると、吸引の時の圧力で死んでしまうそうです。直接手を触れることなくゴミを掃除する感覚で駆除できるのでおすすめです。 ただし、 吸引後は直ちにゴミと一緒に廃棄しましょう。
難しかったら専門の駆除業者に依頼する
引用元:DUSIKN/害虫駆除サービス
ヒメカツオブシムシは、繁殖力が高くあっという間に大量発生してしまいます。そうなると個人で駆除するのはかなり困難です。また 、駆除するにも薬剤が効きにくいという特徴もあります。
女性の場合、幼虫の見た目が気持ち悪いので手がつけられないという場合もあるでしょう。 そういった時には害虫駆除の専門業者に依頼することを検討しましょう。
専門除業者なら害虫の駆除だけでなく、その豊富な経験から予防に対する具体的なアドバイスも受けることができます。