キャベツやレタス、白菜など多くの農作物が害虫の被害に苦しんでいますが、その中でもジャガイモは特に害虫の被害に遭いやすい作物です。
害虫が1度発生すると食害や病気の発生など作物に与える影響は著しく、止めることも難しくなります。害虫からジャガイモを守るには、事前の予防と適切な駆除対策が大切です。
今回の記事では、ジャガイモに発生しやすい代表的な害虫6種類について、その対策や駆除方法について解説していきます。
目次
1.アブラムシの駆除
アブラムシは大量発生して、植物のつぼみや新芽に群生して植物の汁を吸います。汁を吸われることで株が弱り、植物の生育が著しく阻害されます。
また、アブラムシはウイルスを媒介することで病気になることも多く、大きなダメージを与えてしまいます。アブラムシのウィルスを介した病気には、モザイク病やすす病などがあります。
対策方法
アブラムシは繁殖力が強いので、できるだけ発生の初期段階でしっかりと駆除することが大切です。 駆除についてはアブラムシに効果のある多くの農薬や殺虫剤など市販されています。 薬剤に頼らない方法としては、木酢液などの忌避剤を使用したり、違う種類の野菜を一緒に栽培することで対策するコンパニオンプランツを利用する方法もあります。 またアブラムシの共存相手の蟻を退治することも有効です。 |
2.ヨトウムシの駆除
ヨトウムシとはヨトウガの幼虫を指します。 昼の間は土の中や株間に隠れていますが夜になると活発に動き出し、多くの植物を食べあらします。 葉やつぼみ、花をあっという間に食害してしまう厄介な存在です。
成虫になると薬剤が効きにくくなるので、幼虫が発生する初夏~秋にかけて駆除すると良いでしょう。
対策方法
ヨトウムシは葉の裏に大量の卵を産みつけるので、時折、葉の裏を観察して見つけたら、卵が孵化しないうちに葉ごと駆除してしまいましょう。また成長すると日中は土中に隠れてしまうので、被害が発生しても昼間は見つけることができません。 そういった場合は、土を掘り起こして隠れているヨトウムシを駆除をしましょう、薬剤を使った防除も有効です。 |
3.オオタバコガの駆除
オオタバコガは蛾の幼虫で、トマトやナスなどナス科の野菜を食害することで知られている害虫ですが、その他にも幅広く作物を食害します。
春から秋にかけて発生し、蛹の状態で越冬した成虫が5月の下旬頃から出現して、雌1匹で1000~2000個もの卵を生みます。 孵化して幼虫になるのは7月上旬からで、およそ1か月間隔で秋までに何度も発生するのが特徴です。
対策方法
まずは日中作業中などに葉についている幼虫を見つけたら捕殺しましょう。 予防としては防虫ネットを張ることで成虫が飛来してくるのを防ぐことができます。また害虫対策に有効なソルゴーを畑の周辺にあらかじめ植えておくことも効果的です。 農薬を使用する際は老齢の幼虫には効きにくいため、なるべく若い幼虫の段階で使用するようにしましょう。 |
4.テントウムシダマシの駆除
テントウムシダマシは表面に20個くらいの星をもち、その見た目はてんとう虫に似ています。しかし、てんとう虫がアブラムシを食べてくれる肉食の益虫なのに対し、 テントウムシダマシはナス科の野菜を好んで食べる草食の害虫です。
対策方法
小規模の畑で野菜を作っている場合なら、捕殺するだけでも十分対応が可能だと思いますが、規模が大きい場合は農薬や殺虫剤による対応が必要となるでしょう。 テントウムシダマシの幼虫も成虫も葉の裏側に生息して、食害をするので薬剤散布も葉の裏を重点的に行うと良いでしょう。 また屋外で天敵となるハチや昆虫がいる場合は、幼虫を食べてくれるので被害を免れることができます。 |
5.ナスノミハムシの駆除
ナスノミハムシは小さな黒い虫で、主に北海道で見られ発生のタイミングは年1回です。ジャガイモが出芽する6月中旬頃から成虫が飛来し、株元周辺の土の中に7月下旬頃までに産卵します。
幼虫は孵化すると土壌中で成長して、約3週間ほどで蛹になって8月頃に成虫として羽化します。 幼虫も成虫も食害しますが、特に幼虫は活発に活動して土の中のイモを食べてします害虫です。食害を受けたジャガイモにははニキビのような傷がつきます。
対策方法
農薬(薬剤)での防除が有効です。 本州ではほとんど発生しにくいため、害虫対策の重要度としてはそれほど高くはありません。 |
6.センチュウ類の駆除
引用元:Wikipdia/センチュウ
センチュウ類とは、 主に土壌中に生息する微生物で植物に寄生します。世界で3,000種類、日本でも約200種類が知られています。体調は0.3~1 mm で無色透明の棒線形です。
センチュウ類は、野菜の土壌中の根の部分に小さな穴を開けて侵入し、栄養分を奪うことで株にダメージを与えて成長速度を遅くしたり、収穫量を減少させたりする被害を与えます。 また傷口から病原菌が侵入して、病気(立ち枯れ病など)が発生する恐れもあります。
対策方法
センチュウ類に対しては、薬剤などの農薬の効果は期待できません。対策としては土壌の環境をバランスを崩すことになる連作は避けることと、一度センチュウが発生した畑は必ず土壌消毒をするか、土を入れ替えるようにしましょう。 |
ジャガイモの連作障害について
連作障害とは、同じ科に属する野菜を同じ場所で作り続けている場合に起こる生育障害のことです。 例えば、同じナス科の「トマト・ピーマン・じゃがいも・なす」などを連続して植え続けた場合に起こる可能性があります。
具体的な障害の種類は以下の 3つに分類されます。
1. 土壌病原菌の増加)
2. 害虫被害の増加
3. 肥料バランスの崩壊
これらの連作障害を防ぐための方法として「輪作」があります。 輪作とは1つの農業手法で、同じ土地に性質の違ういくつかの種類の農作物を、何年かに1回のサイクルで育てていく方法です。
輪作する野菜としては、「ネギ・枝豆・葉物野菜」などがナス科植物との相性が抜群なのでオススメです。 ただし、家庭菜園など輪作ができないケースでは、年毎にしっかりと土壌消毒を行ってから病気に強い品種を選ぶことで連作障害を防ぐようにしましょう。
ジャガイモ栽培に関わる病気
美味しいじゃがいも育てるためには、害虫対策はもちろんのこと栽培に関わる病気の対策も重要です。
ジャガイモの病気の原因は、土壌中の病原菌やウィルスによるものなど様々ですが、 ジャガイモの生育に著しく悪い影響を与え、場合によっては大きな損害を被ることになります。
ここでは、ジャガイモの部位別に発生する病気(病名)を紹介します。
1. ジャガイモの葉や茎に発生する病気
● 疫病
● 青枯病
● モザイク病
● 軟腐病
2. ジャガイモの鱗茎(イモの部分)に発生する病気
● そうか病
● 粉状そうか病
● 乾腐病
● 黒あざ病
● 黒あし病
美味しいジャガイモを栽培して行くには、これらの病気にかからないように、 適切な予防対策を取ることが重要となります。高温多湿や連作を避けるなど土壌環境を整えることを心がけましょう。
ジャガイモの害虫対策はとにかく予防が1番
今回の記事ではじゃがいも栽培で発生しやすい害虫の予防や駆除方法について解説しました。 害虫被害は放置にすることで 大きな損害につながります。大量発生した後で駆除しても、 大きな経済的ダメージを受けてしまいます。
害虫対策は 大量発生する前に未然に防ぐことが一番大切です。今回の記事を参考に美味しいじゃがいも作りに役立てていただければ幸いです。