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衣類の害虫イガ・コイガの生態や特徴とは?
引用元:Wikipedia/イガ(成虫)
イガ・コイガは、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシと並ぶ4大衣類害虫の1つで、全国各地に幅広く分布しています。
イガは5月、7月、9月をピークとして、大量発生するのでこの時期に特に注意が必要です。衣類を食害するのは幼虫で、動物性の繊維を好んで食べるので、カシミヤ、ウール、シルクなどの衣類が虫食いの被害にあやすいです。
イガ類はイガとコイガの2種類がありますが、 その生態と予防、駆除の方法についてはほぼ変わりがないので、 この記事では「イガ」を中心に解説していきます。
イガの生態
1.イガの生態(表)
和名 | イガ |
学名 | Tinea translucens |
体調 | 6~7 mm (翅を広げた状態で9~16 mm) |
生息地 | 日本全国、世界各地(世界中どこにでもいる害虫) |
生息場所(住宅) | 家の中のタンス、クローゼット、絨毯、毛皮、革製品など |
活動時期 | 年間を通じて( 成虫の活動期は7~10月) |
寿命 | 一週間から10日(成虫で) |
発生回数 | 年に何度も発生する( 幼虫の時期が30~50日と短い) |
特徴 | 薄くて黒い斑紋がある(コイガには存在しない) |
好物 | 動物質の食品(鰹節や魚粉・ウールなどの動物性の繊維・食べこぼしなど) |
弱点 | 殺虫剤がよく効く |
2.イガの特徴(外見)
成虫の羽を広げると9~16mm の大きさがあります。体の色は灰褐色で頭部には黄色の叢毛(そうもう)で覆われています。 前の翅は光沢のある黄土色で、はっきりとわかる紋の3点が特徴です。
後の翅は淡灰色で、翅の頂部と外縁の部分は比較的濃い色をしています。
イガとコイガの違いって何?
イガとコイガの最も違うところは、「食べる餌」の違いです。 イガは、動物性の繊維が好みでウール・カシミヤ・シルク等を食べ、コイガは動物性繊維はもちろん、植物性の繊維やナイロンなどの化学製品も食べます。
家で化学繊維の衣類が虫食いにあっていたら、それは間違いなくイガではなく「コイガ」の仕業でしょう。
● イガとコイガの違い(表)
イガ | コイガ | |
体長 | 翅を広げた状態で9~16mm | 翅を広げた状態で9~12mm |
斑紋 | 薄くて黒い斑紋が存在する | 斑紋はなし |
発生回数 | 年に2~3回発生する | 年に3~4回発生する |
食害(餌) | 食害するのは動物質のみ | 動物質の他に植物質、化学繊維も食害する |
巣 | 巣ごと移動する幼虫 | トンネル型の固定した巣を作る |
イガ・コイガの対策
イガ・コイガの駆除方法や対策は、どのようにしたら良いのでしょうか。ここでは具体的で効果的な対策について詳しく解説していきます。
1.虫食いを防ぐための「しまい洗い」をする
「しまい洗い」とは、季節の変わり目など衣替えの前に、今まで着ていた衣服をしっかりと奇麗に洗うことです。
衣類の繊維に付着した汗や油汚れなどは、害虫による虫食いの原因になります。しまい洗いをした上でタンスに収納すれば、 長期間保管しても害虫の餌となる食べかすなどが衣類に付着していないので、害虫の発生を抑えることができるでしょう。
また洗濯することで、 付着した卵も綺麗に落とせるので、次世代の発生を防ぐことにもなります。 衣類をタンスなどに長期収納する場合は、 虫食い予防のために必ず「しまい洗い」をするようにしましょう。
● しまい洗いの正しい手順
まずは洗濯物が家でできるものなのか、クリーニングに出す必要があるものなのかを選択する必要があります。 「水洗い不可、 ドライクリーニング可」 などの表示があるものは、 家で洗うと繊維を傷めてしまう可能性があるので、クリーニング店に出しましょう。
自宅で洗濯できる衣類については次の手順で「しまい洗い」をしてください。
手順1) 黄ばみと油汚れを落とす
黄ばみや油汚れを落とすには酸素系漂白剤を使用します。 しつこい汚れがある場合は液体タイプよりも洗浄力がより強い粉末タイプを選びましょう。
まずは、適量の漂白剤を40~50℃の温度のお湯に溶かし、衣類を10~20分くらいつけおきしておきます。
漂白剤を使用しない場合は、クレンジングオイルでも代用できます。 その場合は汚れが付着している部分にクレンジングオイルを揉み込み、 40℃程度のお湯に20分程度つけてから軽くすすいでください。
手順2) 洗濯機で洗う
手順1が終了したら、衣類を洗濯機に入れ普段通りに洗濯機を回します。ただし、普段のすすぎ洗いが1回の方は、「しまい洗い」の際は、確実に汚れを落とすためにすすぎ2回で洗うようにしてください。
手順3) しっかりと乾かす
衣類にまだ湿り気がある状態で収納すると、カビや臭いが発生してしまいます。 よく晴れた日に天日干しするか、乾燥機を使うなどして充分に乾燥させてから収納するようにしましょう。
2.定期的に室内清掃をする
イガ・コイガの餌となるのは食べかすや埃、髪の毛などです。 そのためイガ・コイガの防除には室内の清掃が欠かせません。 定期的に掃除をして、室内の状態を常に清潔に保つようにしましょう。
3.洗濯物取り込み時の卵の付着に注意!
イガ・コイガの室内侵入を防ぐには、 最も多い侵入経路である洗濯物を取り込む時の侵入を防ぐことです。
日中飛び回っているイガの成虫は、天日干しされている白い洗濯物に飛来して卵を産み付けます。それを知らずに家の中へ取り込むことで侵入されます。洗濯物を取り込む時に、軽く叩くことで卵の室内への侵入を防ぐことが可能です。
4.室内を飛来する成虫はエアゾール・バルサンで撃退
室内にいるイガの成虫を見つけたら、その場で捕まえて捕殺しましょう。数が多い場合は室内用のバルサンなどの燻煙剤やエアゾールが効きます。
ただこのやり方では、タンスの引き出しの隅や奥に潜んでいる幼虫には効果がありませんので、あくまでも成虫対策としての利用です。
コイガのメス1匹の産卵数は180個とイガに比べてかなり多く、たとえ1匹でも成虫を駆除することで、次世代の発生予防につながります。
5.高速熱乾燥機やスチームアイロンなどで熱処理をする
イガ・コイガの卵や成虫は熱に弱く、50°C前後の温度で死滅してしまいます。タンスに収納する前にコインランドリーで乾燥機にかけましょう。衣類の数が少ない時はご自宅で衣類全体に丁寧にアイロンをかけることで害虫の発生を予防できます。
防虫剤を使用して駆除する(選ぶポイント)
引用元:Amazon/ムシューダ
防虫剤の効果を最大に発揮させるためには、衣類の収納空間にまんべんなく防虫成分を行き渡らせることが重要です。そのためには、タンスや衣装ケース、クローゼットなどそれぞれの収納シーンに応じた防虫剤を使用することになります。
防虫剤の種類は4つ!(ピレスロイド系が主流)
衣類系防虫剤の種類は以下の4つになります。
1.無臭のピレスロイド
2.有臭のパラジクロロベンゼン
3.ナフタリン
4.しょうのう
現在主流になっている防虫剤は、「無臭のピレスロイド系防虫剤」です。商品としては「ムシューダ」、 良い香りをつけた「かおりムシューダ」が有名です。
シーン別・防虫剤選びのポイントを紹介
現在最も使用されている「ピレスロイド系」の防虫剤は、 害虫が発生するそれぞれのシーンによって最適な使い方ができるように様々な種類が用意されています。
引き出し衣装ケース用は、衣類の上に置いて使用する防虫剤、吊り下げタイプの防虫剤には「洋服ダンス用・クローゼット用・ウォークインクローゼット用」などの種類がタイプ別に用意されています。
同じ吊り下げタイプの防虫剤でも、個々の収納空間に合わせて防虫効果が広がるように設計されていますので、ご家庭の状況に適した防虫剤を使うようにしましょう。
どうにもならない場合は専門の駆除業者さんへ
引用元:DUSIKN/害虫駆除サービス
大切な衣類を台無しにしてしまうイガ・コイガなどの害虫。放っておくと大変なことになってしまいます。 本記事を参考に対策だけはしっかりとしておきましょう。
しかし、大量発生してどうしようもない状態になったら、速やかに害虫駆除の専門業者さんへ依頼をしましょう。 駆除対策などでお悩みの方は、気軽に1度相談をしても良いかもしれません。