生垣によく使われる「 マサキ」 という木があります。 成長すると樹高が3~5mくらいになる木で、このマサキに大量発生するのが「ミノウスバ」という害虫です。
外見はイラガに似た毛虫で、初めて見た方はよく間違われるようです。 ミノウスバは食欲旺盛で放置しておくとマサキの葉のほとんどを食べ尽くしてしまいます。 今回はミノウスバの駆除方法について解説します。
目次
ミノウスバってどんな害虫?
ミノウスバは体長 19~33 mm、 半透明な羽を持ち、腹部に鮮やかなオレンジ色の毛と尾端に黒色の長い毛を持つ蛾(ガ)です。
年1回発生し、成虫は秋のみに出現します。食害をするのは幼虫で、庭や生垣、公園によく植えられているマサキやニシキギの葉を食べてしまいます。
外見はイラガに似ていますが、体に淡黄色で黒い縦筋があり、白色の細い毛が生えているのが特徴です。人家周辺でもよく見られるので、多くの人が1度は見たことがあるのではないでしょうか。
ミノウスバは、若齢期では集団で葉を食べますが、成長して大きくなると単独になる習性があります。またトカゲや鳥などの天敵に襲われた時に、不快な味と匂いのするネバネバ状の毒液 を出すことがあります。
ミノウスバの生態
ミノウスバの生態を下記の表にまとめています。
体長( 終齢) | 19~33mm |
発生時期 | 5月頃(年一回) |
危険性 | 要注意(毒性は無いが食害がある) |
越冬形態 | 卵のまま越冬 |
蛹化の方法 | 葉の表面に繭を作る |
寄生植物 | マサキ・ニシキギ・マユミ・ツルウメモドキ・コマユミ |
分布 | 北海道・本州・四国・九州 |
特徴 | 幼虫は黄白色で、細い縦筋の黒線がたくさんある。触れると皮膚がかぶれることがあり、庭木や公園、神社、雑木林などに生息し、集団発生することが多い。 |
ミノウスバの発生時期と成長サイクル
ミノウスバの発生時期
ミノウスバは、日本の全国各地(北海道・本州・四国・九州・対馬)と朝鮮半島から中国まで幅広い地域で生息しています。
発生時期は毎年5月頃で、新緑が鮮やかに生い茂るこの時期から幼虫が出現します。一番多く発生するのはマサキで、その他にもニシキギやヒサカキ、マユミの木にも発生し、葉を食い荒らす厄介な害虫です。
ミノウスバの成長サイクル
ミノウスバの幼虫が活動的になって食害をするのは5月頃ですが、 卵から幼虫、蛹をへて成虫のガになるまでのサイクルは、どうなっているのでしょうか? 以下にミノウスバの成長サイクルを見ていきましょう。
< ミノウスバの成長サイクル >
1.晩秋になると蛹から成虫に羽化します。
2.成虫がマサキなどの枝先に産卵し、 卵の状態で越冬します。
3. マサキやニシキギなどから新芽が出る春頃に、卵が孵化し幼虫が発生します。
4. 5月の中旬から繭を作り蛹になって、そのまま夏を過ごします。
ミノウスバの幼虫に毒はあるのか?
「綺麗なものにはトゲがある」ということわざがありますが、ミノウスバの成虫は見た目がとても綺麗です。果たしてミノウスバにもトゲ(毒)があるのでしょうか?
ミノウスバの幼虫は、イラガの幼虫に見た目が似ています。イラガの幼虫は毒棘を持っていて、触れると 電気が走ったような痛みが生じます。
ミノウスバも刺されると痛いような気がしますが、 実はミノウスバには毒はありません。
しかし、直接触れるとまれに皮膚がかぶれることがあります。
ミノウスバの幼虫を駆除する方法
ここからはミノウスバの幼虫を駆除する方法について、具体的に解説していきます。
少ない場合は捕殺する
ミノウスバの発生が初期段階で、幼虫の数もが少ない時なら簡単に捕殺できます。木の枝や葉を揺らして落下してきた幼虫を捕殺します。
意外に効果のある「キンチョール」を使う
キンチョールは意外に効果があり、吹きかけると ツリークライミングのように糸を伝わりながらどんどん落ちてきます。 キンチョール最強という感じです。 しかし、大量に吹きかけ過ぎると葉の色が変色しますので、かけすぎに注意した方が良いでしょう。
専用の殺虫剤を使用する
大量発生して手に負えないような場合は、 害虫駆除専用の殺虫剤を使用しましょう。 殺虫剤を使用するなら、以下のものがおすすめです。
● オルトラン S
● スミチオン乳剤(1000倍液×6回)
● ノーモルト乳剤(2000倍液×2回)
ミノウスバは早期の駆除で、大切にしている庭木や生垣を守ろう!
引用元:Wikipedia/マサキ
ミノウスバの幼虫はものすごい勢いで大量発生し、大切にしている庭木や生垣の葉を食べ尽くして丸坊主にしてしまいます。 そうなると家の庭や周囲の美観が損なわれ、これまで手入れをしてきた努力が無駄になってしまいます。
そうなってからでは手遅れですので、本記事を参考にして、初期の段階でミノウスバの幼虫を駆除するように心がけましょう。