「ネガティブな考えはやめたほうがいい」と言われたことはありますか?落ち込んでいるときに言われても、思考はうまくコントロールできないものです。
そもそもネガティブ思考とはどんな仕組みなのでしょうか?ポジティブに切り替えるコツはあるのでしょうか?
ネガティブな思考のループを断ち切り、ポジティブに転換するためのヒントをお伝えします!
目次
ネガティブ思考とは?
「ネガティブ思考はよくない」とよく言われますが、漠然としたイメージだけで理解している人も多いようです。
・どのような脳の仕組みでネガティブな思考に陥るのか
・ネガティブ思考がどうしてよくないのか
ネガティブ思考の仕組みと特徴について解説します。
「ネガティブ思考」のメカニズムとは
ネガティブ思考とはいろいろな物事を悲観的あるいは否定的に捉えてしまう思考のクセのことです。
ネガティブな思考パターンから抜け出せない人の脳には次のような傾向があるという欧米の研究で示されています。
・認知コントロールと呼ばれる、古い考えから新しい考えに切り替える働きをする脳の領域の活動が非常に鈍くなっている
・情動的な思考や感情を処理する脳の領域が活発に動きすぎている
つまり、昔の嫌な感情や考えから新しい感情や考えにうまく脳が切り替えられなくなっている状態がネガティブ思考のループといえます。
ネガティブ思考の人の特徴
ネガティブ思考のループにはまりやすい人は、人や物に対して攻撃的になったり、逆にひどく自虐的になったりと精神的に不安定になりがちです。
自分の思考パターンを自覚しているかどうかは人によりますが、自覚をしていても止められないケースが多いようです。原因としては、ネガティブな思考を繰り返すうちに、あらゆる情報をネガティブな解釈へと結びつけるように脳の神経細胞がつながってしまっているからだと言われています。
ネガティブ思考は脳の老化を加速させ心身の不調を引き起こす原因になるため、健康状態も悪くなり、心と体の悪循環を起こしてしまいます。
ネガティブになってしまう原因
ネガティブ思考に陥りやすい人にはいくつかのパターンがあります。思考のクセを改善したいのなら、まず自分自身をよく知ることから始めましょう。
大事なのは、できるだけ客観的に自分の感情や思考を見つめ直すこと。ネガティブな思考や感情を書き出してみると、頭の中が整理できるのでおすすめです。
過去の経験から自分に自信がない
思考パターンの大部分は子供の頃の環境によって作られます。子供のころにネガティブな思考になりやすい状況にいた場合、大人になっても引きずっているケースが多いのです。
いじめなど明らかなトラウマだけではなく、「がんばったのに親にほめてもらえなかった」など周りから見ればささいな記憶が積み重なっているケースあります。
ネガティブな記憶が原因で現実に差し障りがある場合は、専門のカウンセラーなどの助けを借りることも検討しましょう。
繊細で傷つきやすい性格
生まれ持った気質から、感受性が強すぎて傷つきやすい人もいます。HSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれており、人口の15~20%が当てはまると言われています。
HSPの人は、他者に対するアンテナの感度が高すぎる分、生きづらさを感じやすくなります。共感性の高さは、個性であり強みです。ただし、ストレスの対処法を身につけないと、自分がつぶれてしまうことになります。
悩む時間のゆとりがある
ネガティブ思考にはまってしまうときは、心身にゆとりがないときだけだと思っていませんか?
実は、多忙なスケジュールが一段落ついたときや長期休みなど、時間のゆとりがある程度あるときのほうが思考のループから抜け出せないリスクが高まります。
空白の時間を悩むことに思い切り使えるため、思考が中断できないからです。ネガティブな考えばかりに時間を使ってしまうのなら、「やるべきこと」を作って体を動かすとリフレッシュしやすくなります。
理想が高すぎて自己嫌悪に陥ってしまう
ネガティブ思考の人は、理想やプライドが高すぎる場合もあります。
たとえばダイエットを始めようという人がはじめからパリコレのモデルを目標にしていたらどうなるでしょうか?ゴールが遠すぎて、心がくじけてしまう人がほとんどですよね。
理想と現実のギャップからネガティブになりやすい人は、目標設定の方法や計画の進め方を見直してみるとよいでしょう。
ネガティブから抜け出す方法5選
ネガティブな思考パターンを自分の力で整えていくにはどのようにすればよいでしょうか。
日頃の心がけでネガティブ思考から抜け出すための5つのコツをまとめました。
悩む時間を作らないようにしよう
過去のことや未来のことといった自分ではどうしようもないことばかり悩んでしまっているのなら、今できることに集中できるように予定を立てるのがおすすめです。
心が疲れているときは、あまりお金をかけずにできる趣味や運動などに取り組むと、悩むだけの時間がなくなっていき、心が楽になっていきます。
そういったアクティビティをやる気力もわかない状態であれば、まずはゆっくり眠って心身を回復させるところから始めましょう。
周りの人と比べるのをやめよう
ネガティブになってしまっているとき、つい周りと比べて「自分はダメだ」と落ち込みやすくなります。自分の価値を計るものさしは、他人ではなく昔の自分にしましょう。
半年前や1年前の自分と比べてみると、少しずつでも「できないことができるようになっている」ことに気づくはずです。
小さな成功体験を積み重ねよう
ネガティブ思考にとらわれてしまうと、失敗ばかりが目についてしまいがちです。
大事なことは小さな成功を日々積み重ねていくことです。たとえば「元気な声であいさつをする」といった少しがんばれば達成できる目標を決めて、毎日チャレンジしてみるとよいでしょう。
仮に結果がうまくできなくてもチャレンジできれば成功です。日記などに書いておくと自分の振り返りに便利ですね。
ポジティブな人と一緒にいよう
人は環境の力に大きく影響されます。まわりにネガティブな人が多いと、自分の思考も引きずられてしまいます。
落ち込んでしまっているときほど、なるべくポジティブな人と一緒にいる時間を増やしましょう。ネガティブな人とは日頃からできるだけ距離を置くほうが、心のバランスがとりやすくなります。
周りの意見を聞いてみよう
ネガティブな見方に偏ってしまっていると、だんだん視野が狭くなり、ネットなどを見ていてもネガティブな情報しか頭に入ってこなくなります。
そんなときは、できるだけリアルで信頼できる人に相談して、意見を聞いてみることをおすすめします。対面で会えないなら、電話でもかまいません。
人に話すだけでも悩みを整理できる効果があります。また第三者の意見を聴くことで、ループしているネガティブ思考の落とし穴にも気づきやすくなります。
おわりに:ネガティブの原因を知ってポジティブに切り替えよう

ネガティブ思考に陥ったときは、まず自分のパターンを知るところから始めましょう。
ただし、自分の過去のようにどうにもできない原因ばかり探していても、悪循環になってしまいます。大事なのは「自分の心のバランスをとるために今何に取り組むか」を決めて、行動してみることです。
どうしてもひとりでは苦しいときは、専門家に頼ることもできます。ネガティブな思考にふりまわされないように、ぜひ自分にあったやり方を見つけてくださいね。